長く伸ばした毛先を尖らせた、パンクなヘアスタイルとファッションがトレードマーク。カンヌライオンズをはじめ、様々な海外のカンファレンスで、その講演を聞く人も多いだろうDigital Prophet(デジタル領域の予言者・エバンジェリスト)のAOL デイビッド・シング氏が9月来日。365日中300日世界を飛び回るというシング氏が見る、広告界のトレンド・潮流をインタビューした。
来日するたび、私は日本のカルチャーに魅了され、驚かされます。伝統的な和のデザインの洗練された佇まいにも惹かれますし、一方で最先端のテクノロジーが生み出すクリエイティブのパワーも感じます。アニメのキャラクターなどコンテンツ産業も活発ですね。
ブランドは生活者のカルチャーに寄り添わなければならない
今後、こうした素晴らしいカルチャーの中で、何を日本らしさ、アイデンティティと定めていくかが、日本企業やブランドにとっての課題になるのではないかと見ています。それは海外企業も同様です。今、多くのブランドがかつてのマーケティング手法から脱却し、生活者の持つカルチャーに根ざしたコミュニケーションを目指そうとしています。
その理由としては、テクノロジーや身の回りのツールの発達に伴い、生活者が自ら発信する主体に変わってきたことが挙げられます。企業によるメッセージを様々なチャネルにバラまく旧来のマーケティング手法と、受け身の消費者の関係は終わったのです。
今、マーケターの関心は、どうしたらもっと生活者の共感(エンパシー)を引き出せるのか、そもそも生活者が持っているカルチャーは何か、ブランドがどうしたら生活者のカルチャーの一部になり、彼らが作り出すコンテンツの中に組み込まれるか、という点に移ってきています。
