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リクルートジョブズ「タウンワーク」はテレビCMやLINEの広告効果をどう測定し、最大化している?

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メディア環境が大きく変化する中、消費者の情報接触から購買にいたるまでの道筋をたどることができるシングルソースデータ(※)の重要性が高まっている。求人メディアの「タウンワーク」「フロム・エー ナビ」などを運営するリクルートジョブズでは、野村総合研究所(以下、NRI)の「INSIGHT SIGNAL(インサイトシグナル)」を活用し、テレビCMやWebキャンペーンの効果を把握、広告やマーケティングの戦略立案に生かしている。そこで、シングルソースデータをどのように活用しているのか、話を聞いた。

(※)シングルソースデータとは、同一の調査対象者に対してメディア接触、商品の購入意向・実態などを調査したデータ。メディア接触の有無別に、同一人物の事前・事後の態度変容を見ることで、広告効果を測定する。
(左)リクルートジョブズ 執行役員 商品本部 デジタルマーケティング室 板澤一樹 氏
(右)野村総合研究所 インサイトシグナル事業部 部長 塩崎潤一 氏

テレビCMの効果を科学的に把握する

—リクルートジョブズで、シングルソースデータを活用するようになったきっかけから教えていただけますでしょうか。

板澤:私が統括しているデジタルマーケティング室は、いわゆる宣伝部門とWeb部門が組み合わさった組織です。「タウンワーク」「フロム・エー ナビ」など、自社メディア全体のマーケティングを担当しており、テレビCMからネット広告などの戦略立案、その効果やビッグデータの分析を担っています。

「タウンワーク」テレビCM
© Recruit Holdings Co., Ltd.

「フロム・エー ナビ」テレビCM
© Recruit Holdings Co., Ltd.

もともと私はWeb部門に長く在籍していたため、テレビCMを担当するようになったときも、その効果をいかに科学的に把握するかということに関心をもっていました。自前でシングルソースパネルを構築したこともありましたが、いろいろと調べたところ、NRIさんのシングルソースデータ「INSIGHT SIGNAL(インサイトシグナル)」がその調査に役立つ上、有効に活用できそうだと思い、導入を決めました。過去数十回にわたって、広告やキャンペーンの効果分析を重ね、ユーザーの態度変容、視聴実績、利用経験の変化などを調べています。

塩崎:リクルートジョブズさんは他社に先駆けて、デジタルマーケティング室を立ち上げ、デジタルという名の下に宣伝機能を統合させるなどとても先進的です。私たちも一緒に仕事をするなかで刺激を受けることがとても多いです。

—近年のメディア環境の変化をどのように捉えていますか。

板澤:ここ数年の間に、メディア環境が大きく変化しましたよね。特にスマートフォンの利用が大きく広がりました。そこでスマートフォンの利用実態がどうなっているのか、シングルソースパネルから分析する仕組みを作っています。

塩崎:気が付くと新しいメディアが出てきましたよね、この5年を振り返ってみるとLINEが代表例かもしれません。新しいメディアをすぐに試してみるのもリクルートさんらしいなと思っています。

板澤:そうですね、特にアルバイトを探すユーザーは比較的若い人が多いため、ソーシャルメディアやそれ以外の新しいメディアをいかにうまく使うかは重要です。そうなると、従来は宣伝部門とエンジニアが所属する開発部門は企業内で遠い関係にあったと思うのですが、今後は連携や統合していかなくてはいけない時代になったと感じています。

塩崎:リクルートさんは宣伝組織内に開発チームを抱えているので、すぐに動けることが強みですよね。

—これまで具体的にどのような開発を手掛けたのでしょうか。

板澤:例えば、2年前になりますが「LINEビジネスコネクト」がリリースされた際に、「フロム・エー ナビ」のキャラクターである「パン田一郎」とLINEで会話ができるサービスをリリースして話題になりました。

「フロム・エー ナビ」パン田一郎LINE公式アカウント画面

LINEを使って何か施策を行うのも面白いかもしれないと、シングルソースデータの調査結果から感じていました。「フロム・エー ナビ」というメディアの認知と、キャラクターの認知、それらをどう「利用」に結び付けていくかというブリッジに課題を感じていたのです。テレビCMを行っていたこともあって「パン田一郎」の認知度は高く、ここをうまくLINEと組み合わせれば、利用促進につながると企画しました。

塩崎:そうでしたね、最初はLINEでスタンプを提供するだけで効果が出ていたのですが、時間が経つ中で徐々に効果が薄くなり、どう利用促進につなげるのかが鍵でしたね。

板澤:LINEのスタンプ配布などを通じて、どのように間接的に「フロム・エー ナビ」の利用経験に利いているのかをシングルソースデータからトラッキングできました。その結果、LINEを活用すればマスメディアに匹敵するほどの間接効果を生むとの結論に至り、当初から戦略を立てて取り組めたことは大きかったですね。

直接的な効果については、「LINEビジネスコネクト」から当社のWebサイトへのアクセスを調べれば分かります。ただシングルソースデータを見ることで、スポンサードスタンプも含めて接触したユーザーとそうでないユーザーの差分を定量的に把握できるため、特に間接効果が分かる点がいいですね。

—テレビCMとネットを組み合わせた効果測定についてはいかがでしょうか。

板澤:もちろんクロスメディアの施策の結果も見ています。テレビCMからどうWebサイトのアクセスにつながり、最終的にコンバージョンにつながったのかを調べています。

塩崎:リクルートジョブズさんの面白いところは、われわれのシングルソースパネルとリクルートさんのWebサイトをつないでいる点です。実はここができている企業は意外と少ない。多くの企業ではテレビはテレビ、WebはWebと別々に測定していますが、はじめから一緒に考えている点がすごいですね。

板澤:それでも失敗することはあります。バイラルを狙った動画の反響が、イマイチだったことも(笑)。

ただ、やはり直接的な効果だけでなく、間接効果を調べることが大切だと思っています。そうすると新しい施策にも取り組みやすい。最近は、動画広告の効果についても調べていますが、誘導だけではない別の価値を動画広告が持っていることが分かり始めています。

次ページ 「クリエイティブの改善にもデータを活用する」へ続く



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