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コラム

ブラジルADカーニバル

Best of Both Worlds ブラジルx日本

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日本とブラジルの板挟みの生活を1カ月経て、やっとブラジルでのプロジェクトが1つ終了しました。この1カ月これにかかりっきりだったプロジェクト。世界のリーディングカンパニーである日系メーカー様が、ブラジルにビジネスを拡大されるということで、政府関係者様との顔合わせやプレス記者会見、ブラジル現地の業界のお客さまを集めてのセレモニーイベントなど、4日間に渡るPRメインのプロジェクトでした。

私の経歴はATLやプロモーションがメインなのですが、これからブラジル進出される得意先の場合はPRメインのプロジェクトになることが多いです。

今回のコンセプトは“Best of Both Worlds”。日本とブラジルのいいところのMix。
エージェンシーサイドのチーム編成や、イベントでのパフォーマンスやお土産に至るまで、このコンセプトに紐づけました。プレス、政府関係者やお客さまの方々に、日本からきたこの企業がブラジルに“Best of Both Worlds”でローカライズしていくところを体感いただくためです。

クライアントは、ヘッドクォーター(本社)が日本にあり、ブラジルにもオフィスを立ち上げていますが、今回のプロジェクトオーナーは日本側。日本サイドとは東京オフィスのマッキャン・ワールドグループのマッキャンエリクソンとウェーバー・シャンドウィックがコミュニケーションをとり、私は現地ブラジルにてマッキャン・ワールドグループ内で調査、PR、イベント、プロダクション計100人超をコーディネートし、現地クライアントと日本のクライアントとそれぞれのコミュニケーションのハブになるという役目でした。

日本であれば営業・戦略・クリエイティブ・プロダクション含め15人くらいでできる仕事量だったと思いますが、そこはブラジル、関係者は100人を超えます。それぞれの人の役割がとても狭い範囲で分割されていて全て違うのです。1つの変更がでると30人くらいにその変更を説明しなければなりません。またブラジルでは会議が長いので、1つの変更を30人に説明するだけで1日かかります。そんな環境で体当たりで進めていると不思議にポルトガル語をしゃべれないのにコミュニケーションは問題なくとれるようになりました。

びっくりしたのはポルトガル語が話せない私が何か説明しようとすると、英語が話せない彼らも頑張って歩み寄ってくれる事です。これはアメリカ人ではなかなかないと思います。

私が知っているポルトガル語はこれだけ。
●Good Morning → ボンジーア
●Please → プレファボーレ
●Good → ボン
●Very good → モイト ボン
●Thank you → オブリガーダ (男性が言う場合はオブリガード)
●領収書下さい → レシーボ プレファボーレ

まずボンジーアと元気に挨拶し、頼みたいことを英語やジェスチャーや絵を描いて説明し、最後にプレファボーレをつける。ブラジル人が頷くとボンといい、最後に笑顔でオブリガーダ。とういう繰り返し。海外で仕事をしている時に一番大切なのは、そこの国の人といい人間関係を築く事。彼らが味方になってくれないと、彼らが私のために頑張ろうと思ってくれないと、仕事は何一つ進みません。最初は時間をかけてその信頼関係を築く事を丁寧にしました。

コミュニケーションがとれるようになると、次に文化の壁にぶちあたります。
セレモニーの会場が、ブラジルの中でも田舎町で開催しなければならなかったため、会場は1つしかありませんでした。伝統的なホテルです。ですが、ブラジルはとてもインフラが弱い。雨で停電になるし、インターネットも原因不明でよくとまります。
ホテル会場に、ジェネレーター(発電機)を持ち込まなければなりません。必要な電量の計算から始まります。

さらにエアコンがないことが判明!! 500人の政府関係者やプレス、大切なお客様がスーツを着ていらっしゃる中、30℃超えるブラジルでエアコンがない会場! 考えただけでも冷や汗です。サンパウロ中の業者に連絡し現場を見てもらいましたが、会場の配管の都合上エアコンを装着できる業者が見つからず、リオデジャネイロの業者まで連絡しやっとエアコンが装着できることになったのはイベントの3日前でした。

日本ではホテルにジェネレーターを持ち込んだり、エアコン導入工事からしなければいけないイベントなんてあるんでしょうか。。

大都市のサンパウロから会場である田舎町までは1本道しかなく、すごい渋滞なので3時間以上かかります。VIPの移動はなんとヘリコプターです。サンパウロはヘリコプターの交通量はNYに次ぐ世界2位。現地でいったら当たり前なのですが、日本からしたらVIPをヘリに乗せるのは勇気のいる決断です。

このような日本では考えられないような事が山ほどあり、思いもよらないことに金額がかさみ、それを日本にいるクライアントにご理解いただかなければなりません。

逆もあります。今回は世界のリーディングカンパニーがブラジルにロンチする華やかなお祝い。太鼓とサンバのコラボレーション、寄付している財団の子供たちのカポエラパフォーマンスなどのエンターテイメントや法被を着ての記者会見など、コンセプトの“Best of Both Worlds”に沿ったコンテンツ満載な中、現地ブラジルのクライアントからマジシャンを呼びたいというご希望が!! え? B2Bイベントですけど? 世界のリーディングカンパニーですけど? 500人のお客さまと記者が参加するなか、、、マジシャン。。。。
限られた予算の中、色々削ってそれでもなんとか、盛大なパーティーにみせられる用に調整している中、マジシャン。。。

太鼓xサンバ コラボパフォ―マンス

太鼓xサンバ コラボパフォ―マンス

子供たちによるカポエラパフォ―マンス

子供たちによるカポエラパフォ―マンス

結局マジシャンは呼びました。パーティーの品格を下げないようにするために、Valetパーキングで車を待っていられるお客さまの列を飽きさせないようにするために、そこだけに使いました。

噂のマジシャン

噂のマジシャン

参列者へのギフト 日本酒xカイピリ―ニャ キット

参列者へのギフト 日本酒xカイピリ―ニャ キット

なんだかんだのブラジルと日本の板挟みの1カ月。日本で働いていた時よりも、NYでローカルクライアントを担当していた時よりも、日本人であることを一番求められた仕事だったと思います。

杉野恵美「ブラジルADカーニバル」 バックナンバー