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コラム

ブラジルADカーニバル

「海外と働く」と「海外で働く」の違い

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ブラジルでの大きなプロジェクトが一段落し、日本に一時帰国しています。今年に入って飛行機の搭乗回数は15回、常に時差ボケボケボケの状態です。ブラジルにいる時は日本に起こされ、日本にいる時はブラジルに起こされ、地球の反対側と仕事をするのは本当に体力を消耗するなぁと実感しています。

ここで「海外と働くこと」と「海外で働くこと」の違いについて書いてみようと思います。
私の最初の就職はロサンゼルス(LA)の米系会社で米系クライアント対象の仕事でした。その後6年間、LA→東京→ニューヨーク(NY)→サンパウロで、日系と外資系の双方で勤務し、得意先も日系と外資系様々でした。今思うと日本で、外資系クライアントを担当していた時は、ある意味楽だったなぁと感じます。

日本で「海外と働く」時は、ホームで試合をする感じ。
得意先も日本にいる私と仕事を進めることは十分承知だし、日本のやり方を尊重したいと思っていただいている場合が多いので、ビジネスレベルの英語と他国の仕事の進め方&文化を多少理解していれば、滞りなく進めることができます。逆に日本人は真面目なので普通に仕事しているだけで、「そんなにしてくれてありがとう」という印象を持っていただくことが多いです。

ところが「海外で働く」というのは反対です。自分が単独でアウェイで試合をすることからのスタート。デスク、電話、PC、名刺を準備してもらうよう自分で動くところから始まり、その土地のやり方を吸収し、その土地のやり方をそつなくこなせるようになって、初めて新人として認められます。そしてその上でやっと自分にしかできない仕事、自分の得意な仕事をアピールし結果を出し、やりたい仕事ができるようになります。私は最初の就職がLAだったので、逆に日本がアウェイだったのですが、日本で4年間働いた後の海外勤務はまたアウェイからの始まりでした_| ̄|○

例えば、「効率を良くする」とか「スケジュール通り進める」とか「必ず成功させるために斬新ではあるけれどもリスクのあることはしてはいけない」といったことは、一般的に日本でいいこととされていますが、海外では必ずしもいいことではありません。日本で蓄積された経験と価値観をもって仕事をしようとすると「なんでできないの?」と思ってしまいがちですが、「なんでできないの?」ではなく、「ここではそうなんだね。ではそこから何ができるか」というところからのスタートになります。

その過程を踏むうえで私が心がけているのは、「その国の外見になる」です。洋服もLAではKitsonで買い、NYではMichael Korsで買いブラジルではMelissaの靴を履く。例えば日本では濃い色のスーツを来ますが、LAで濃い色のスーツを着ているとお葬式かと思われてしまうので、白いスーツを着ていました。ブラジルではスーツはほとんどなく、ぺったんこの靴でどれだけオフィスらしい服になれるのかというところがポイントになります。美的感覚も国によって違うものなので、化粧も現地の雑誌を参考に日本、LA、NY、ブラジルで変えます。

最初、基本人は外見からその人の印象を受けることは多いし、特に営業の私は、「この人の話をきいてみたい」「この人の話は信じられる」「この人と仕事がしたい」と思われる外見をその土地土地の美的感覚の中で作ることを心がけます。いつまでたっても観光客のように見られたり、「日本から来た人」と思われては、仕事で頼られるようにはならないと思います。まずは助けてもらうところからスタートなので「助けたい」と思われる印象をつくるといろんなことがスムーズにいきます。なので現地の人と間違われるくらいその土地に溶け込もうとする努力が必要になり、それは日本ではしたことのない努力だと思います。今私はNYの服を捨て、ブラジルの服を買っているところですが、それで日本に帰国してしまうと変な人になってしまって困っています。自分のアイデンティティはないといって等しいかもしれません。自分のアイデンティティのない孤独な戦いのスタートです。

次回はそんな戦いでの試行錯誤をもっと具体的にご紹介させて頂ければと思います。

今回は日本に帰国の際に乗り換えたロンドンのヒースロー空港の広告のご紹介。
空港に到着した途端にある巨大なBAのOOH。
ロンドンはレディ(ready=五輪の準備ができている)だそうです。

olympic

確かにレディですね。オリンピックグッズが沢山。

olympic_goods

そしてチェックインコンコースでとても目立っていた、富士通のOOH。
わかりづらいかもしれませんが、女の人のマネキンが飛んでいます。

fujitsu

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