永友鎬載(電通 コピーライター/2000年秋・基礎コース、2001年春・上級コース修了)
先週、TCCのリレーコラムで
「コピーライターのナンパ術」を書いたのですが、
ツイッターで拡散し、予想以上の反響に驚きました。
街で通行人に声をかけるナンパという行為は、
広告と似ている気がします(極端な話ですが…)。
どうすれば受け手の心をつかめるか。
それはプレゼンの場でも痛感します。
オススメの案を通したいのに、うまくいかない場合があります。
プレゼンのやり方も、原因のひとつだと感じています。
例えば、東芝の洗濯機のネーミングの仕事。
クライアントからのオリエンは、
「洗浄力の強さを想起する名前にしてほしい」というものでした。
ネーミングは決まることが少ないので、
「ZABOON(ザブーン)」が通ったのはよかったのですが、
実は別の案をオススメしていました。
プレゼンでは、パワーポイントでベタ打ちした
ネーミング案をお見せしていたのですが、
今考えると丁寧さに欠けていました。
オススメの数案をアートディレクターにロゴデザイン化してもらい、
イメージしやすくすれば、クライアントの印象も違ったと思います。
他の仕事でもこんなことがありました。
ユニクロのフリースの仕事で、
出演者が自分の「今」を語る内容のCMをつくったときのこと。
ユニクロのフリース テレビCM(左からサッカー選手の本田圭祐さん、モデルの水原希子さん、映画監督の安藤モモ子さん、写真家の石川直樹さん)
ナレーションも大切なコピーです。
雑誌のインタビュー記事を熟読し、
仮のナレーション案を書いた上で取材して
原稿をつくっていたのですが、
ひとりだけスケジュールが合わなかったんです。
そこで撮影当日に初めてご本人に案をお見せしたところ、
ほとんど書き直されてしまいました。
その内容に、もっと自然な話し言葉にできないかと感じたんです。
さらに僕も書き直し、撮影後のナレーションの収録で
読み上げてもらおうとしましたが、叶いませんでした。
思えば、案を数パターン作成しておいて
選んでもらうやり方にすればよかったと思います。
少なくとも議論の余地はあったのかなと。
この仕事の難しさは、世に送り出す以前に、
クライアントや出演者、制作スタッフなど、
様々な人たちに納得してもらえないとカタチにならないこと。
そういう意味でも勉強になったのですが、
ユニクロの仕事でご一緒させていただいた
コピーライターの石川英嗣さんはコピーの打ち合わせの際、
広告キャンペーンの幹となる考え方を書いた紙をご用意されていました。
ボディコピーにそのまま使用できるくらいクオリティーが高く、
まずそれを読み上げて、ひとつひとつのコピー案をご説明されていました。
当然いいコピーばかりだったのですが、
打ち合わせの場でものすごい説得力を感じたものです。
いい企画、いいコピーであることは必須条件ですが、
それを通す方法のひとつとして、少しでも参考になればと思います。
(自戒をこめて……)
永友鎬載(ながともこうさい)
1978年高知県生まれ。電通 第2クリエーティブプランニング局コピーライター。TCC最高新人賞、朝日広告賞、広告電通賞、消費者のためになったコンクール・経済産業大臣賞、日本雑誌広告賞など受賞。
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- 2012年4月 大津健一「幸運の女神は最終講義で微笑んだ」
- 2012年3月 大重絵里「考え続けられる人が、輝いている」
- 2012年2月 山川力也「コピー」じゃなくて、「いいコピー」を書くために。
- 2012年1月 安田健一「土俵に上がれない時代は、土俵づくりから。」
『6/30開講 コピーライター養成講座上級コース』
「コピーの力」で物事を解決する力や「商品の状況」や「ターゲットのインサイト」を読み取る力を身につけ、コピーに落とし込むスキルを身につけます。コピーを書く力を持つ人が、商品やターゲットの状況、インサイトなどを「聞きだす力」を身につけ、「理解」し、ことばというカタチにすることができたなら…。そうした企業に求められる「コピーライティング」の力を身につけるのが上級コースです。
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