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ネットで売れる戦術第9回 クリエイティブのレスポンス率を毎回「100%確実」に上げ続ける方法 ——「販促会議7月号」より

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インターネット上でモノを売る際、ランディングページを作り、ユーザーの興味を引き付ける必要がある。九州で一貫してダイレクトマーケティング型ネット広告に従事する、売れるネット広告社の加藤公一レオ氏が良いと考えるランディングページを紹介してもらう。

第9回は、レスポンス率を上げ続けることができる、最強のクリエイティブ理論について紹介する。

ここでは、『販促会議』2012年7月号に掲載している第9回の全文を掲載します。

マキアレイベル「クリアエステヴェール」

文:売れるネット広告社 代表取締役社長 加藤公一レオ氏

ネットで売れる戦術

広告賞を受賞するクリエイティブでも、レスポンス率が高くなければ意味がない。ネット広告のクリエイティブは、「売れるかどうか」「レスポンス率が上がるかどうか」という結果がすべてである。何よりも大切なのがレスポンス率を上げ続けること。キャンペーンごとにレスポンス率が激しく上下する運任せなクリエイティブは極力避けたい。

しかしレスポンス率を毎回上げ続けるクリエイティブを作ることは広告のプロでも至難の業だ。だからこそ売るためのクリエイティブを作るには慎重にならなければならない。これから説明するクリエイティブの最適化理論を実施すれば、キャンペーンごとに毎回「100%確実」にレスポンス率を上げ続けることができる。

まずキャンペーンの効果を最大化するには、必ず事前にクリエイティブテストを行って、レスポンス率の一番高いクリエイティブ(広告原稿とランディングページ)に絞り込むべきである。ネット広告は正確なスプリットランテスト(A/Bテスト)ができる媒体なのでそこを有効活用すべきである。

例えばキャッチフレーズ一つでも、レスポンス率には最大2~3倍の違いが実は出てくる。だから一つのクリエイティブを決め打ちで作り、いきなり大規模なキャンペーンを行うのはリスクが高すぎるのだ。ネット広告では一般的に、一つの媒体メニューに四~八つぐらいまで同時入稿= 同時掲載ができるため、例えばキャッチフレーズのみを変更した広告原稿とランディングページを作り、テストを行う(この場合、過去に作ったクリエイティブで一番良かったものもテストの中に入れる。これはクリエイティブの質が上がったか下がったかを把握するため)。

その中でも特にレスポンス率が良かった1位のクリエイティブに絞り込み、本番のキャンペーンに挑む。これが事前クリエイティブテストである。ズバリ、小さい規模(テスト)で特定のランキングが付いたクリエイティブは、大きい規模(本番)になっても、ほぼ99%の確率で同じランキングになる。

仮に1000万円の予算があれば、10%の100万円ほどの予算を使い、事前にクリエイティブテストを行うべきだ。広告主はこのテストというわずかな費用を惜しんだり、広告主担当者や広告会社のクリエイティブディレクターの感性によってクリエイティブを選定したりしてしまうので、大規模キャンペーンで失敗して、巨大な損失を招くことが多い。

続いて中長期的な観点でクリエイティブについて説明しよう。ネット広告のクリエイティブのレスポンス率を上げ続けるには、レスポンス率の高かった広告原稿とランディングページの「マイナーチェンジ」を行い続けることが大原則である。

これまでの広告業界では、「一つのクリエイティブプランを一つの完結された作品」として見てきた。一つのクリエイティブプランを試してレスポンス率が悪いと、その作品自体が悪いということで、まったく新たなクリエイティブプランを作成してきたのだ。しかし、ネット広告のクリエイティブでは、「強いキャッチフレーズ・強い写真などの“要素”の“単純な組み合わせ”がレスポンス率を左右している」と考えるべきである。つまり一つのクリエイティブプランの要素を分解して、「どのキャッチフレーズや写真などの要素を組み合わせたら最強の組み合わせになるか」を「統計学的」に模索することがネット広告のクリエイティブのレスポンス率を確実にアップさせる方法である。

私が提案するクリエイティブの考え方はシンプル。

レスポンス率の高いクリエイティブを“確実”に作るにはズバリ、「強いキャッチフレーズ」と「強い写真」などの要素を“単純に組み合わせれば”よいのである。

この理論を「クリエイティブ最適化」と呼ぶ。「クリエイティブ最適化」をするためには「レスポンス率が上がる要素」、つまりは「強い要素」を正確に把握する必要がある。そのためにはネット広告のクリエイティブテストを行う際に、「強い要素」が特定できるように、スプリットランテスト(A/Bテスト)を行うべきである。具体的な「クリエイティブ最適化」の手順は下記の通り。

クリエイティブ最適化の手順
クリエイティブ最適化の手順


Step(1)
クリエイティブの要素を「キャッチフレーズ」や「写真」などに分解。その要素に対抗させる「キャッチフレーズの新規案」「写真の新規案」を複数用意。
Step(2)
「キャッチフレーズ」要素のみを変えたクリエイティブを制作し、スプリットランテストをして、効果測定ツールで一番強いキャッチフレーズを把握。(キャッチフレーズテスト)
Step(3)
「写真」部分だけ変えクリエイティブを制作し、スプリットランテストをして、効果測定ツールで一番強い写真を把握。(写真テスト)
Step(4)
一番強い「キャッチフレーズ」と一番強い「写真」を単純に組み合わせ次回のクリエイティブを制作すると最強のレスポンス率に。

※キャッチフレーズテストを行う場合はキャッチフレーズ部分しか変えないこと。同時に写真やデザインを変えると、「キャッチフレーズが良かったのか? 写真が良かったのか?」が分からなくなる。要素は「写真」や「キャッチフレーズ」に限らない。「デザイン」や「アイコン」「文章」「フォーム」など、毎回テーマを決め、テストする。

図のように、単純に一番強い要素を組み合わせる(ガッチャンコする)作業である。一見乱暴に見えるかもしれないが、驚くほどレスポンス率が上がり続ける。過去にどれぐらい上がるのかを検証してみたことがあるが、某クライアントにて、キャッチフレーズテストを行った結果、「キャッチフレーズA」に比べて「キャッチフレーズD」で3倍レスポンス率が上がり、写真テストを行った結果、「写真A」に比べて「写真C」で2倍レスポンス率が上がった。その一番強かった「キャッチフレーズD」と「写真C」を組み合わせたところ、なんと元のクリエイティブに比べてレスポンス率が約6倍上がった。つまりは3倍×2倍=6倍になったのだ!(正確には約5.7倍)。

芸術思考の広告会社のクリエイターがこの理論を聞いたら怒るだろう。だが、ネット広告のレスポンス率を上げ続けたいなら、この考えに基づいてクリエイティブを作るべきである。要素の「組み合わせ」の改善こそが、レスポンス率を上げ続ける一番確実な方法なのだ。

何度も言うが、この理論に基づいてクリエイティブをマイナーチェンジし続ければ、確実にクリエイティブのレスポンス率は上がり続ける。私は「クリエイティブ最適化」により、担当してきたすべての広告主のクリエイティブプランのレスポンス率を毎回「100%確実」に上げ続けてきた。


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加藤公一レオ氏(かとう・こういちれお)
ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。大学卒業後、三菱商事、Euro RSCG、ADKにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事。現在は、単品通販が数多く存在する九州において、ネット広告ビジネスの総合プラニングおよびコンサルティング活動を行っている。
ウェブサイト:www.ureru.co.jp