驚くほど、日本車が走っている国。
ティト率いる僕らのチームは、日本生まれのクルマのブランドを担当している。そのクリエイティブの打合せに参加しながら、僕はふと胸が熱くなるときがある。それは、世界各国から来たクリエイターが、日本生まれのブランドについて「このブランドならこう語るべきだ」「いや、それはブランドらしくないよ」なんて真剣に熱く議論をしている瞬間だ。アメリカにいる君たちが、日本生まれのものに、そんなに本気になってくれるんだ、と。日本生まれのブランドは、日本人のものであるけれど、世界中で乗ってくれている人のものでもあるのだ。
みんなそれぞれが、自分の思い入れをもっている。3月にロサンゼルスに着いて、初めて道路を走った時、日本車の多さに驚いた。外車の多い東京都心の道と変わらない、といったらちょっと言い過ぎだろうか。日本にいた時も知識として「アメリカで日本車が売れている」と知ってはいたが、アメリカの道路を走ってみてはじめて実感が湧いた。日本車がたくさん走っているのも、アメリカの現実。各国から来たクリエイターが日本車の広告やブランドについて真剣に考えているのもアメリカの現実。ここでは、様々な国で生まれた文化が、集まり、他の文化圏から来た人に受け入れられ、新しい文化となってまた世界中に拡がって行く。それは広告も同じだ。
「原田朋のCHIAT\DAY滞在記 ~リー・クロウの下で365日~」バックナンバー
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