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コラム

原田朋のCHIAT\DAY滞在記 ~リー・クロウの下で365日~

最終回。なぜ、多様性は強いクリエイティブを生みだすのか?

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ちがうものと合体する。

ロサンゼルスは、特にスペイン語の人も多いので、役所の書類には英語とスペイン語の両方が書いてあったりする。社会保障事務所や運転免許事務所の窓口では、こちらの英語がヘタでも、そういう人は多いので普通にゆっくりしゃべってくれる。また格安の英会話スクールが、ある意味社会経済政策として(=移民の人が英語で働けるようになるために)用意されていたりする。街のつくりはざっくりしていて、見た目からは先進的なイメージは感じないけれど(失礼)、とても先進的な都市なんじゃないかと僕は思う。言葉も価値観もちがう人々が、同じ場所で生きるために、英語を使い、もちろん絶対に守らなければいけないルールを守って、あとはそれぞれのやり方で生きている。みんなが「ちがう」ことを前提につくられ、「ちがう」から問題もおきるが、でも「ちがう」中から活力を生みだしている社会なんだ、と感じられるのだ。

日本はどうだろう。みんなが「おなじ」であることを前提としてつくられている社会のような気がする。「おなじ」だから言わなくても分かりあえる気がするけど、ときとして「おなじ」じゃない人への風当たりは強い。

日本も、「おなじ」価値観の中で技術の高さを競う時代から、「ちがう」ものと合体して価値を生みだしていく時代になりつつある。いや、既になっていると思う。そして広告は、一方では国境を越え、よりグローバルに普遍的な方向へ。一方では、さまざまなテクノロジーと合体して、新しいリアルを生みだすクリエイティビティへ。カンヌもクリエイティビティの祭典になってから、より多くの参加者をひきつけている。日本人の僕たちは、今までよりいっそう、ちがうものと出会い、多様性を意識して取り入れるときが来ているのではないだろうか。

ラファエル

人だけでなく、犬もいっしょに働けるのが、シャイアットの多様性。
仲良しのアートディレクター・ラファエル(左)も犬が大好き。

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