コラム

いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾

よくある質問「ローカルだといい仕事はあまりないんじゃないの?」に答えます!

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【事例2:「からすみの敷居を下げて、より多くの人に楽しんでほしい」—小野原本店シリーズの場合】

次は、長崎の老舗海産加工品店・小野原本店の仕事です。

からすみといえば高級品——そんな図式を壊し、手頃に楽しめて、普段の食卓に使える商品を作りたいとオリエンを受けました。まず取り組んだのが「からすみパスタオイル」のラベルデザイン。和のイメージが強いからすみですが、実は地中海発祥でイタリアンとの親和性が高いんです。でも、むやみにイタリアンテイストにしては小野原さんならではの良さを消してしまうので、あくまでも「長崎のからすみ屋さんがつくるパスタオイル」から離れないようにデザインしました。

ラベルの図柄の中には、小野原本店の古い包装紙から取り出したマークも取り入れています。「安政の大獄」の年から続く小野原さんの歴史の中から生まれた商品である、というアイデンティティをデザインに込めたかったんです。

小野原本店「からすみパスタオイル」(左)と「からすみそぼろ」(右)。パッケージデザインには、小野原本店の古い包装紙にもプリントされているマークを取り入れている。

担当の小野原善一郎さんとは同世代ということもあり、打ち合わせの時には「自分たち30代が地域に対してできること」「これからの長崎って・・・」そんな話題になることもしばしば。仕事を通して、地域との関わり方を真剣に考えられるのも、ローカルで仕事をする醍醐味です。地域全体を盛り上げようというクライアントの意欲と心意気に引っ張られ、企画やデザインのアイデアが出てくると感じます。

また、ビジネスを超えた関係を築きやすいのも、地域密着の仕事の良いところ。小野原さんとの仕事では、それを特に強く感じます。昨年のクリスマスプレゼント交換会では、小野原さんのプレゼントが僕のところに来ました。からすみのマスコット(一点もの!)、リビングに飾っています。

【事例3:「直売できるブランドをつくりたい。」—崎永海運 たかしまフルーティトマトの場合】

3つ目は、海運業を主要事業とする崎永海運の「高島トマト事業部」の仕事です。長崎市から船で30分ほどの離島・高島にある農園で獲れるトマト「たかしまフルーティトマト」。ブランディング全体を担当させていただいた案件ですが、実は、当初は箱パッケージだけのご依頼でした。

しかし、経営層の会議から参加することができ、そこで農園のスタッフ一人ひとりの思いと今後のビジョンを伺ったところ「作るのは、はたしてパッケージだけでいいのか?」という疑問が芽生えました。枝葉の部分ではなく、これからのビジョンに即した、根っことなる仕組みづくりが必要だと思いました。

そこで、今後出荷する農産物の種類が増えた際にも使いやすいステージを整えるべく「たかしま農園」という概念を設けることを提案。また、主力商品のトマトは糖度によって買い物しやすいネーミングをつけて整理したほか、CI、VI、各ツール、パッケージのデザイン・・・とオリエンから大きくはみ出したプレゼンテーションになりました。

たかしま農園の一連のプロジェクトは、第3回九州アートディレクターズクラブで準グランプリを獲得した。糖度10以上の「ハートの女王」、糖度9以上の「情熱ハート」、糖度7以上の「純情ハート」、糖度9以上でミニサイズの「五月の初恋」など、商品のネーミングがユニーク。

デザインをつくって終わりではなく、この仕事がきっかけに、崎永海運さんとは継続的な関係を築くことができています。

例えば、崎永海運さんが県の制度を利用して同社社員向けに「広報レクチャー」を開催した時、講師として僕ら制作チームのスタッフを招いてくださりました。講師は、普通ならアドバイザーとして県に登録している方が務めることが多いそうなのですが。

僕らにとっては、CIやVI、ツール類を社員の方に有効に活用してもらうための説明ができる、またとないチャンス。作ったものをうまく活用してほしいのは当たり前の気持ちなので、この時間をいただけたのはありがたかったですし、何より僕らに依頼してくださったということがとても嬉しかったですね。

レクチャーでは

・プレスリリース発信のコツ
・自社サイトやSNSの基本的な使い方
・スタッフによる、ファンクラブ会員向けの「農園だより」の制作
・社内の文書で使うフォントの決定

以上を中心に、自社で運営する広報活動をテーマにしました。農園事業以外の社員にもあらためてこの事業を認知してもらえるきっかけになったと、喜んでもらえました。最近送られてきた会議資料も、指定フォントを使う徹底ぶり!ブランドの「らしさ」が社内にしっかり浸透しているのだなと嬉しくなります。

大きな枠組みから細かな表現部分まで一貫して関わることができる環境をいただく案件になりました。

次ページ 「事例4—岩崎紙器 CI、ツールの場合」に続く

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