こんなPOPはありなんですか?~ありでしょ。
その頃の店長が書いたPOPで印象的なものがあった。ドカッと積み上げられた本に、「買わないでいいです。立ち読みしてください。」え~!店員ながらそれを見たとき、なかなかの衝撃だった。正直すぎでしょ。タイトルは忘れてしまったのだが、デザインだったか演劇の本だったような気がする。
見たこともなかった本だったのでパラパラ目を通してみてから、店長のところに行って、「あのPOPってありなんですか」と質問したのを覚えている。そのとき返された回答が「お客様の手に取ってもらえれば勝ちでしょ」「すこしハードルが高いなって本に、買ってくださいとか、こんな良い本です、みたいなことを書いても、だれも手を出さないでしょ。」「うん、確かに。」「うちは専門書店でもないから、そのカルチャーに対してのきっかけさえ作れば良いわけ。」「なるほど」「手段は法律に触れなければ何でも構わないでしょ」「わかりました、合法的にがんばります」そのときの会話は、今でも覚えている。
エッジの効いたカルチャーを手に取らせるためには手段選ばず。これがヴィレッジヴァンガードのやり方だ。
①50+50=□ ひとつの答えを求める
②□=100 答えは決まっていて、手段を考える
どの会社でもそうだと思うのだが、ヴィレッジヴァンガードでは、特に②の考え方が重要になっている。というか②の奇抜性だけで生きていると言っても過言ではない。
お客様になりきった結果こうなった~ヴィレヴァンのプレゼンテーションポリシー
前述の、ヘビやサソリの演出は実はハードルを下げるための演出にすぎず、いつのまにか普段、本屋では手に取ることのないような写真集に手を伸ばさせるしかけだ。
「コンパース」は、「シンプルスニーカー。無名ですが良い商品ですのでどうぞお買い求めください。」なんて書いても、平田オリザではないが「あ~そうですか」の反応がオチだ。「コンパース」。あえて、「品質は保証しないけど、それでもいいなら買ってて。買って後悔しないでね。」ってスタンスで、リアルな客観性を表現して、お客様のココロのすきまにすっと入っていくしかけになっているのだ。
「「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」」バックナンバー
- ヴィレヴァンの行動マニュアル~モノを売るなココロを売れ(2015/9/10)
- ヴィレヴァンの買い物コミュニケーション論~買い物の本質とはなんだ??(2015/8/21)
- ヴィレヴァンの「棚作り」~ストーリーを売る、気分を売る(2015/7/07)
- ヴィレヴァンに行くと、なんとなく落ち着くのは、自分だけだろうか?(2015/6/17)
- 「ヴィレヴァン」は、本と雑貨の「B級グルメ」だ!(2015/5/26)
- ヴィレヴァンの「俺たちの土俵」はどこにある?(2015/5/08)
- ヴィレヴァンの「POP」であやつるMD戦略~お客さまのお買いものスイッチを狂わせる(2015/4/02)
- ヴィレヴァンの「ごちゃまぜ」陳列論~店舗は三次元の雑誌のように(2015/3/18)
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