屋台の焼きそば理論??~お客様は思い出を買っている
お台場店にいるときは、売場のエンターテインメント性を特に強く意識した。お客様は、商品を買っているのだけれども、それを通した体験・時間を買っている。旅行客が多かったあの空間では特にそれが有効に働いた。非日常空間をあえて演出することで、お客様は盛り上がり、思い出を買うために買い物をする。これを私は「焼きそば理論」と称して後輩たちに伝えてきた。えっ、焼きそば??
私はヴィレヴァンと似たビジネスモデルは何か?と質問されたとき、最もしっくりくるのはお祭りの屋台だ、と答えることにしている。お祭りの屋台で買う「焼きそば」は本当に焼きそばが食べたいから食べているのか?おそらく違う。屋台で美味しい高級焼きそばがあったとしても、おそらく売れないはずだ。発泡スチロールにのっかった焼きそばに400円も払うのは、その瞬間の体験や思い出を買っているからなのだ。
同様に、ヴィレヴァンで買い物する行為は、旅先の土産物屋とも似ている。清水寺で木刀を買ってしまう中学生と同じ感覚なのだ。友達と一緒に、木刀を買っている瞬間はすごく楽しい気分になっているはずで、生活に必要ないのはわかってはいるけど、商品が欲しいというより買うという行為自体に意味があり、彼らにとってそれはすごく貴重で大切な時間のはずだ。
「こんなもん買っちゃってさあ」って、最高の笑顔で言わせたい
なので、商品をきれいに並べて、「はい、おしまい」というわけにはいかない。それでは、ただの焼きそば売場で、ただの木刀売場だ。
ヴィレヴァンという騒がしくて迷路のような空間の中でお客様が、生活に特に支障もなさそうな商品を買い、家に帰ってその日の夜は盛り上がり、次の日には正気に戻って、家族や友人たちと「だまされたわ~」とか「こんなもん買っちゃってさあ~」「どうかと思ったけど意外と良かったよ」みたいな会話をする。こんなやりとりを創出できたら成功だ。
意図的にお祭りや旅先の土産物屋にも似た猥雑で活気にあふれた空間を作り出し、せっかく来たからには何か買ってみたいという気分にさせる。ヴィレヴァンはそんな気持ちの高揚をさまざまなアプローチで提供できる唯一無二の存在でありたいと考えている。
次回は、ヴィレヴァンの仕入れについて。素人のままでいてをお届けします。
「「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」」バックナンバー
- ヴィレヴァンの行動マニュアル~モノを売るなココロを売れ(2015/9/10)
- ヴィレヴァンの買い物コミュニケーション論~買い物の本質とはなんだ??(2015/8/21)
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