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コラム

「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」

ヴィレヴァンに行くと、なんとなく落ち着くのは、自分だけだろうか?

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まとまりのない自分の部屋は、どちらかというとダサい

ヴィレヴァンの品揃えについて、いままで意識してきたことがある。それは、リアルを求めること。かっこつけないこと(正確に言えば、かっこつけられないのかもしれない)。

近年、シャレた雑貨屋さんや本屋さんが多く開店した。それらの店では非日常を感じられるし、「うわ~、いいなあ」なんて、上質なライススタイルにあこがれたりする。ただ、オシャレ100連発のショップは、確かに心躍ることはあるのだが、「普段の自分の生活になじむかなぁ」と、個人的にはいつも感じてしまう。「俺の部屋、もっとダサいし、ガチャガチャしているし、根本的に狭いしなぁ」。たまに、こんな感じに購入直前で寸止めが心の中で行われることがある。

先述の社員旅行の話でもあるように、高級リゾート、それはそれで楽しいのだが、みんなで盛り上がるとなると、コンビニで現地のポテチとかを買って、みんなで一カ所に集まってガヤガヤやるのが一番楽しいと思ってしまうのと一緒で、お店の品揃えもまた、お洒落一辺倒ではなく、ダサい要素も同居しているような空間の方が個人的には落ち着く気がしている。

汚くてダサいけど、なんか落ち着く

昇りエスカレーターの入り口

ガルシア・マルケスと峰不二子が同居する空間考

本棚に関しても、ガルシア・マルケスを読みふけるほどシリアスではなく、そのすぐ近くには露出度の高い峰不二子のフィギュアが置いてある空間こそが、人間くさくてリアルで落ち着く。意識的に“スノッブ”な品揃えの棚には“バカらしい”POPを書いてみたり、あえて“純愛”と“エロ”を同居させたり、わざと“自己研鑽”と“ナンセンス”を同居させたりする。これは、店舗デザインをするにあたって戦略的にやってきたことだ。

オシャレな食器を愛用して五穀米を食べるボーダー女子だって、実は、ニンニクまみれのラーメンが好きだったり、エロだってバカだって実は大好きだったり、部屋着なんかは超ダサかったりする。本音のところはこんな感じなんじゃないかと思うのだが、一般的な小売りでは、実用か、非日常かのどちらかを追求し、まずこれに対応しようとはしない。

人間って、真面目で不真面目で、知的でバカで、おしゃれでダサくて、正義感を持ちながら悪趣味なものにも興味がある。そんな矛盾に満ちた存在だ。

ヴィレヴァンでは、そんな矛盾に満ちた人間の深層心理を戦略的に体現することで、他の小売店ではできない共感の渦を巻き起こす。えぐいほどにリアリティを求めることで、シャレた雑貨屋さんや本屋さんに負けない、居心地を演出しているのは、実はこのような白と黒が同居させる品揃えにポイントがあるのかもしれない。

商品の説明はしない

なんでもあり、深層心理をえぐりだす