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コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

ACC賞ラジオCM部門 嶋浩一郎審査委員長×BRUTUS西田善太さん×ホフディラン小宮山雄飛さん 座談会「え、今ラジオ聴かないの?ラジオでしょう普通!」

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今のメディアにおけるラジオの立ち位置とは?

嶋:今の若い子から見ると、ラジオはネットのストリーミングサービスの一種くらいの感覚かもしれませんね。

西田:チューニングという言葉は、今はギターとかでしか使わないもんね。

嶋:でもスマホで接触できるメディアに生まれかわったってことはラジオにとってすごいチャンスだと思うんです。デジタルに一番親和性があるメディアになった。

小宮山:今の若者はラジオを聴いているんですかね?

西田:大学生の息子たちがいるんですけど、良く聴いているのはポッドキャストですね、流しっぱなしとかはあまりない。でも、「JUNK(TBSラジオ)」とかは聴いているみたいですよ。

小宮山:僕がラジオで面白いなと思ったのは、放送局によって雰囲気が全然違うところですね。

西田:違いますか。

小宮山:僕は、最初ニッポン放送でオールナイトニッポンの木曜2部をやらせてもらって、それからJ-WAVE、そのあとTOKYO FMとかでやらせてもらったんですけど、ハガキの雰囲気は全然、変わりましたね。それぞれ流す音楽も全然違ったりして。

リスナーの方がどこまでそういうのを聴き分けているかはわからないですけど、番組を担当している側としてはそういうところが面白いと思いましたね。

西田:僕はよく出演しているラジオはFMだったんで、AM的な喋り方じゃないんですよ。時々TBSラジオの生放送なんかに出ると、あのスピード感と段取りに圧倒されます。でも、今の子は、AMっぽいとかFMっぽいとかないんだろうね 。

小宮山:並列に聴いているんでしょうね。

西田:radikoだと、AMもFMも関係ないしね。

嶋:パーソナリティのトーク中心の番組が増えてきている印象がありますね。つまり、全体的にはAM化している印象を僕は受けています。

小宮山:97年ぐらいからJ-WAVEも変わっていった気がしますね、完全なオシャレステーションだったのが、みうらじゅんさんが出てきたりして一方的に曲をかけるんじゃなくて、リスナーとの対話をしたり、だんだんAM的なノリになっていった気がします。

嶋:先ほど話したリスナーとの実験的なセッションとか、新たな進化が生まれるかもしれませんね。

小宮山:ゲストが来る番組を僕はよくしていたんですけど、こう言っちゃなんですけど、ラジオはゲストがちょっと舐めているのが面白いんですよね、遅刻とかよくして来るんですよ。

嶋:人の家に遊びに来るみたいな感じなんですね。

小宮山:そうそう。あるタレントさんが生放送なのに遅刻してきたりして、局の外で聴いているリスナーに「あっちです!入り口!」とか案内されながら、アタフタして汗かきながら「ゴメン!」とか言って、入ってくるのが僕は面白くてしょうがなくて、スタッフさんたちは大変だと思うんですけど。

テレビだったら生放送で遅刻してきたら大変なことだと思うんですけど、出る側も「ラジオだから、まあいいか」みたいな感じになっている、そのラジオの雑さが僕は逆に好きです。

西田:ラジオは下手すると制作も3人ぐらいしかいないんですよね、少人数でつくるところが雑誌と似ている。それが僕にとって親和性がある。演者として出ているとわかるけど、番組台本もいい加減な時があるんです(笑)。そのいい加減さも含めて自由度が高い。少ない人数でやると簡単に立ち上げられたり、潰せたりできるところがラジオの魅力ですね、雑誌の小さい連載みたいな感じで。「オールナイトニッポン」みたいなメジャーな番組だとそうはいかないかも知れないけど。

嶋:「オールナイトニッポン」でもコーナーがつまらなかったら、すぐ潰したりしますよ(笑)。

西田:テレビのバラエティーもそうかも知れないんだけど、ラジオは簡単に立ち上げられるのがいい。

小宮山:それはいいですよね。番組もそうだし、コーナーもやってみてつまらなかったらすぐやめようってできるのが。

西田:伊集院光さんの「JUNK」を聴いていると、各コーナーがどうやって成長していくのかがよくわかるんだよね。最初は伊集院さんの説明をリスナーが理解できていないんだけど、段々コーナーを理解していくにつれリスナーの方が面白くなっていくっていう。

嶋:MBSのワイド番組を聴いていたときなんですけど、おでんの具に関して延々としゃべってるんですよ。もう、そんだけしゃべれば十分でしょうって思って聴いていたら「また来週もやろう!」って盛り上がって。コレでもかってくらいラジオはやりますよね。

小宮山:リスナーが本当に自分事として考えているんですよね、テーマを募集していると本当に1つも面白くないのを送ってきたりするんですよ。この人なんでこんなの送って来るんだろう、もう「帰りに野菜買ってきてよ」みたいなノリでメールを送ってくる。これはどこを読んだらいいんだろう、みたいな、家族に報告するぐらいの気持ちで簡単に送ってきたりするんですよ。

でも、やっている側としては嬉しいんですよね。こんなに身近に感じてくれているのかと。これ1つも面白くないところが偉いぞと。

嶋:ラジオは日常に馴染みやすいんでしょうね。

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