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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

動画広告はバズればいいの?企業はこれからネットで「テレビ」になればいい

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「動画広告」を根本から考え直そう

車の動画広告を見せたいなら、ドライブをテーマにした番組をつくって見てもらい、その番組の間に動画広告を見せれば、いきなり広告だけ見せるよりずっと見てもらえます。

そうやって考えていくと、ネットで企業はテレビになればいい、という結論が見えてきます。アピールしたいブランドの名前を冠した「○○○TV」を企業が自分でつくるわけです。

別に24時間埋めて放送する必要はない。毎週X曜日Y時からと決めて番組を放送し、商品にまつわることをテーマにし、商品広告をうまく挟み込んで見せていく。放送ですが、アーカイブして、あとからでも見てもらえるようにすればいい。

「漠然とドライブの番組でいいのか?」

そうですね!その商品にうまく合ったドライブの番組にしないと。家族みんなが乗るミニバンだったら行楽がテーマでしょうし、SUVならアウトドアとか?

番組を考えるとおのずからその商品にふさわしい“世界観”を考えざるをえない。ブランディングを本能的にやることになります。

「ドライブの番組にCMつけるだけでは広告として弱くない?」

そうです、そうです!そうすると、ドライブの番組を受けてもうひと括り、商品に近い番組も必要かもしれません。商品の使い方をターゲットのライフスタイルの中で見せる、とかね。

「ドライブの番組やるだけで見てくれるかな?」

うーん、そうですねえ・・・じゃあ、時々バズ狙いのWebムービーでもつくりましょうか。見た人に「○○○TV」への誘導をするのです。見てくれる人、増えますよ!こうして考えていくと、テレビCMの素材をバナー発想であちこちに載せていく方法は、動画広告のひとつのやり方に過ぎないことがわかってこないでしょうか。

そんなやり方もありなんでしょうけど、もっと役割を考えて何層かで組み立てる必要があるのです。手間はかかりますけど、結果的には効果をぐいっと発揮すると思います。

GoogleがYouTubeの使い方として提唱しているHHH戦略がありますけど、それを応用してもっとテレビ放送みたいにやりましょうという話です。実はこの連載の2月で書いた内容の、角度を変えた焼き直しです。あの時も、こんな図を添えました。

あと、この「○○○TV」の考え方はずいぶん前にもありましたし、実際にやった事例もあります。でも当時といまとはソーシャルの普及が格段にちがいます。

少し前の「○○○TV」はあらゆる手を尽くして「そこに来てもらう」手法でしたが、いまはあらゆる情報流通を介して映像を見てもらう分散型の「○○○TV」が可能です。オウンドメディアにも置き、Facebookでも見せ、YouTubeにも置く。さらに別のメディアとも手を結んで番組を置かせてもらう。あちこちに「○○○TV」が存在する状態をつくれます。

「○○○TV」は続けなければ意味がないので、けっこう大変です。年間で数千万はかかるでしょう。でもそれで、テレビCM3億円分よりずっとターゲットに届くし、販売に結びつくコミュニケーションができると思います。

また、コンスタントな番組制作と、みんなが興味持ってくれるような出演者の交渉力などを考えると、テレビCM制作会社よりテレビ番組制作会社のほうが向いてそうですね。

「○○○TV」、やってみませんか?こうやって構想しているだけでなく、実際にやってみたいんですよ。興味ある方、具体的な企画を提案しますよ、どうでしょう?

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Borer 」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書「拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―」。株式会社エム・データ顧問研究員としても活動中。お問合せや最新情報などはこちら