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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

電通×アマナ コラボ企画 「ビジュアルが持つ力の本質とは?」【前編】

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【前回】「「ヒットさせてと言われても」山本宇一×天野譲滋×谷尻誠×石阪太郎【後編】」はこちら

グローバル化とデジタル化が同時に進む社会の中で、ビジネスにおけるビジュアルの力はますます重要になっています。今回の電通デザイントークは、電通ビジネスデザインスクエア未来創造室とビジュアルコンテンツ企画制作・提供のアマナのコラボ企画です。

具体的には「ビジュアル×クリエーティブPR」「ビジュアル×新規事業」「ビジュアル×テクノロジー」「ビジュアル×インナー活性化」「ビジュアル×デジタルマーケティング」の5つのテーマをオムニバス形式で、電通とアマナのプロデューサーやクリエーターが“ビジュアルの持つ力”の本質に迫ります。

ビジュアル×クリエーティブPR

小柴尊昭
電通ビジネスデザインスクエア 未来創造室 チーフプランナー/フォトカタリスト

2007年入社。外資IT系クライアントのアカウント担当を経て、13年から未来創造グループへ。さまざまな企業のインナー改革プロジェクト、地域活性化プロジェクトなどを担当するほか、「写真」の本質力を広告原稿以外にもソリューション活用するフォトリューションを提唱。

小柴:電通 未来創造室の小柴尊昭です。今回の電通デザイントークのテーマは、「ビジュアル・ブレークスルー・パワー!」です。ビジュアルはアートであり、歴史を語るメッセンジャーであり、想像を育む舞台でもあります。

最近は、ビジネスシーンにおいても、直観的で効率的なコミュニケーションをする上でビジュアルの重要性が認知されてきました。さらに、人と人との関係性や絆を確認する時にも、重要な役割を果たします。このようにビジュアルは、私たちのあらゆる活動と表裏一体で存在しているわけです。

片岡:アマナの片岡圭史です。直近の2、3年はストックフォトやCG、撮影など、アマナの持つさまざまな技術を組み合わせた事業を開発することに注力しています。当社は、400人を超えるクリエーターを抱えており、表現力もあり、実行力のあるプロデューサーがいます。今日は、当社が企業のビジネス拡大を支援する“武器”になることをお伝えできればと思います。

小柴:最初のテーマは「ビジュアル×クリエーティブPR」です。電通第3CRプランニング局 アートディレクターの川腰和徳さんと、アマナ プロデューサーの里見勇人さんから、ユニークな事例を紹介してもらいます。

川腰:最初の事例は、Yahoo! JAPANの20周年記念企画「ヒストリー・オブ・インターネット」です。この企画は、1969年から始まったインターネットの歴史上の事象を、全てビジュアルで表現するものでした。

川腰和徳
電通 第3CRプランニング局 アートディレクター/コミュニケーションデザイナー

アートディレクターとして数多くの広告キャンペーンを担当。商品デザイン/企業ブランディング、CIからプロダクト、空間設計や映像の企画制作まで幅広く手掛ける。

まずは事象を調べるところからスタート。合計で1300件ぐらいあり、特にインターネットが爆発的に伸びた95年以降は、膨大な量になりました。そういった事象を全てプロットして、ビジュアル化していきました。

アマナの里見さんには企画段階から入ってもらい、クライアントとも直接やりとりしながら、長い時間をかけて進めていきました。制作期間は約1年かけています。

里見:事象のリサーチ段階から、自分たちで行いましたからね。

里見勇人
アマナ プロデュース部チームリーダー チーフプロデューサー

2011年入社。グラフィックの広告制作から始まり、3DCG、ウェブ、映像など幅広くプロデュースを行う。また、エンドユーザーまでしっかりと届く広告作りをモットーに日々、さまざまな案件のプロデュース業務を担当。

川腰:そうですね。専門家の方に監修を依頼して、歴史の教科書としても使えるくらいに綿密にカテゴリーを分けて、それを半年間かけてビジュアル化した大作です。イラストを描き、それを写真で複写した上でレタッチして、組み合わせていきました。かなりの手間がかかっています。

最終的には18メートルに及ぶ巨大な展示物と、ウェブサイトにまとめました。ウェブサイトは、それぞれの事象をクリックすると、説明文が出てくる仕掛けにしています。

里見:表示されるディテールまでこだわっているので、どんどん見たくなります。

川腰:「ヒストリー・オブ・インターネット」は、ニューヨークADC賞で金賞を受賞しました。2つ目の事例は、北國新聞との取り組みです。金沢市で行われる高校生相撲の全国大会を盛り上げるためのPR企画で、「相撲ガールズ82手」という映像とグラフィックをつくりました。これは、相撲の応援サポーターの2人の女性が、相撲の全82手を再現する企画です。

新聞社がクライアントのため、新聞上だけでなく、動画もあることでPRにおける拡散力が全然違ってくるんです。実際、多くのテレビ番組で取り上げられました。

この企画は、「相撲ガールズ」のキャスティングに苦労しました。何度もオーディションを行い、ようやく柔道の有段者2人に出会えたのです。この2人には、500回を超える立ち合いをしてもらいました。

小柴:最初に川腰さんからアイデアを聞いた時に、内心で「無茶言うなよ」とは思わなかったんですか。

里見:はい、正直なところ「マジか?」と思いました(笑)。ただ、プロデューサーとしては、「楽しいことをやりたい」と熱意を持って言われると、ワクワクするんですよね。

川腰:信頼しているから、お願いできたんです。ビジュアルのクオリティーとアウトプットを担保した上で、限られた予算の中で最大のパフォーマンスを出すことはすごく重要ですからね。今後は、CGやARなどで、平面から飛び出したバーチャルな企画も実施してみたいです。

次ページ 「ビジュアル×新規事業」へ続く