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CCCが主婦の友社買収?「本日の一部報道について」の意味すること

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時折、企業が広報発表として出している「本日の一部報道について」という公式コメント。

この「一部報道」には、「そのメディアが勝手に書いたのだ」という非難の意味がある。

トラブルや企業買収などセンシティブな案件に多い。12月13日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)による主婦の友社買収に関する報道後の動きもこのケースにあてはまる。

CCCも自社のサイトに出していたが、「本日の一部報道について」という発表は、会社のウェブページに書くこともあるし、記者会見で述べることもある。ただし使い方に注意が必要である。

週刊誌や大手新聞社に書かれたらどうする?

ボクは、クライアントさんが公式発表する文章を出すときにチェックをするが、例えば、週刊誌にちょっと書かれた場合は「一部報道により」と使う。そんなときは「面倒くさいな。こんなこと記事にしなくてもいいのに」というニュアンスを含んでいる。スキャンダルをすっぱ抜かれたときもそんな表現だ。

それが日経新聞などの大手新聞社に書かれたときは、慎重に考える。まだ決まっていない、確定していない事柄や、IR的に漏れるとまずい業務提携やM&Aの話の場合は、「すっぱ抜かれて面倒なことになった」という意味を含め「一部報道により」と使う。

この場合は、「弊社は事実を認めていませんよ」「推測も含め、新聞が勝手に書いただけで事実ではない。もしくはその事実を発表する時期ではありません」という意味になる。「上場へ」的なことをすっぱ抜かれたときに使う表現だ。

もしかすると、その記事に書かれた内容は、その時点では、事実ではない。もしくは、将来的には、業務提携などがなくなり、白紙になるかもしれないという要素を含んでいる場合である。

「他メディアへの配慮」という名の芝居?

場合によっては、何がしかの意図があり、前日リークをしたのものの、それを企業として、企業広報として認めるわけがいかない場合は「一部報道により」的な表現を使う。

そこには、他のメディアへの配慮もある。

抜かれたメディアとしては「なんで、あの新聞だけ?」となり、広報は怒られてしまう。でも「一部報道」と公言することにより、「弊社も困っているのですよ」「漏れてしまったのですよね。誰かから。迷惑なんです。」という表現になる。

ちなみにだが、事前にリークして書いてもらった場合には「新聞が出た後に“一部報道によりますと”とウェブページで出しますけど、気を悪くしないでくださいね」と事前に仁義を切るのが通常だ。

ある意味芝居である。そんなことは日常茶飯事だ。

だが、事実が新聞に掲載され、さらに他のメディアも追随しているときは「一部報道」ではない。「3社」ならもう「一部報道」ではない。そして、その内容が「過去」の話で「事実」なら、“一部”を外すべきである。

「報道されたとおり」でいい。
潔く事実を認めたほうが望ましい。
メディアの受けもいい。

隠しても、すぐに知られる。
新聞やテレビのニュースで報道されたことは、すぐにYahoo!ニュースやLINE NEWSなどウェブでも伝えられる。ある意味「一部報道」ということはもうないのだ。

そして一部報道と表現するときは「嘘」「まだ事実ではない」という意味を無理やり作り上げようとしているフシがある。それは伝わる。

「一部報道」の使い方には要注意!

だから広報は使うときには気を使ったほうがいい。「一部報道では○○と伝えられておりますが、事実無根です。名誉毀損で訴える用意があります」もしくは「一部報道では〜現在、事実を確認中です」というのが望ましい。

一部の報道が喧嘩を売ってきたのか?それとも事実なのか?
もしくは、事実だが「一部報道」と書くことで「報道機関が嘘をついている」と表現したいのか?そのあたりの使い方をはっきりさせたほうがいい。

報道されたことに腹を立てて思わずつけたのはわかる。だが、それは他のマスコミにも伝わる。マスコミもそれ以降の対応を考える。

もし事実なら、「一部」を外したほうが望ましい。事実とわかった時点で外したほうがいい。それは、それを書いた広報が一番わかっているはずだから。

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