コラム

「シェアしたがる心理」のこれからを考える

世界最先端の「顧客体験」ってどうなってるの?【前編】

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マーケターが一足飛びでCDになれちゃうかも?

今回のサミットの主役は、間違いなくAdobeの人工知能である「Adobe Sensei」。あらゆるセッションで「Sensei」の名前を聞くことになりました。ちなみに、Senseiはもちろん日本語の「先生」が由来です。

Adobe Senseiを活用したアプリケーションによって、例えばこんな風に仕事が進みます。

あまり絵を描いたりビジュアル素材を制作したりするのが得意ではないマーケティング担当者であっても(僕のように)、手書きのラフスケッチをスマートフォンのスキャンアプリ「Adobe Scan」で読み取ってもらえば、その内容をSensei Agentが理解し、管理する素材データの中から適した素材をあてがってくれるのです。

そこに商品名だったり、あるいはイベント名だったりといったテキスト要素を入れれば、ちょっとしたプロモーション素材のようなものはすぐにできてしまいます。専門的なアートディレクションとツールに関するスキルを身につけていなかったとしても、ここまですぐに到達できるのが驚異的。

マーケティング担当者であれば完成したビジュアルがデザイン的な観点だけでなくマーケティング的にも効果があるか気になるところですが、そこにも対応したソリューションが準備されています。「Sensei Graph」を使えば、オリジナルを元にした背景や構図をいじった様々なビジュアルパターンと、そこから予想されるマーケティング効果が表示されるのです。つまり、一瞬で素材のA/BテストをAIがやってくれるというわけですね。

今回のデモ機能はまだ実験段階で、利用開始時期は未定とのことですが、こうした技術が広まればクリエイティブの自動化はまた一歩先に進むことでしょう。

次に紹介する「Video Ad AI」は、Day2のSneaks(新製品一歩手前の新しいテクノロジーのお披露目会)で発表されていました。

余談ですが、このSneaksがとても素敵なイベントで、参加者にビールが配られてリラックスした感じで聴けたり、コメンテーターにアメリカの有名なコメディエンヌを呼んで笑いながら見れるようにしたりと、工夫も素晴らしかったです。お硬い「発表会」「勉強会」にならない感じというか。エクスペリエンスの重要性をうたうだけあってさすがでした。

この「Video Ad AI」は、タイトルからもある程度内容が予想できるかと思いますが、動画広告の効果をAIが事前に判定し、さらにSNSごとの特性に合わせてコンテンツの微調整をサジェストしてくれるというものです。

このデモでは、広告の管理・パブリッシングができる「Adobe Advertising Cloud」上で、SNSごとにSenseiが予測した動画効果の期待値が表示されるということを示しています。このケースでは、インスタグラムで配信してもこのままでは効果が出ないであることが示唆されています。そこで、動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro CC」とシームレスに連携して修正できる利点を活かして、アップした動画をこの画面上で編集して短尺化。すると、インスタグラムでの期待値が高いものへと改善されました。

過去の動画広告事例のデータから、この動画はどれくらい見られるか?どのSNSに出すのが良いか?を事前予測してくれるわけです。さらにその動画広告素材に対して、「短くすればもっと観られるでしょう」や「このような動画の構成、展開がいいでしょう」といった提案もしてくれます。

さらに動画のなかから、サムネールとして最適な部分を抽出したり、見所を切り出したアニメgifを自動生成してくれたりするのです。このデータ解析からクリエイティブの調整、アウトプットの完成までのワンストップ具合がAdobeさんの強みだと強く感じました。

これらのツールをうまく使いこなせば、マーケターがクリエイティブディレクター的な仕事を高い精度で代捕することもできるでしょう。

後編につづく

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