オリジナルの考察を入れる小学生
沼田:昔、漢字テストの強化チームがあって、クラスの漢字力を上げるために模擬試験をつくるんですよ。模擬試験つくって、僕のいない隙にやってるんです。
中村:それが凄い。何なんだろう。
沼田:週に1回の漢字テストが2回になってるんです。そのうちふと気づいて、親御さんにご理解いただいて、成績は僕がやるから、採点は子どもがやったほうがいいんじゃないか、子どもにやらせたいと言ったら、丸付けするメンバーの成績がどんどん上がりだすんです。
権八:なんでだろう?
沼田:とめはねはらい、これ違うね、ここ間違えやすいよねと、必ず3人がかりで見てるからどんどん上がるんです。そうすると、そのグループに入りたい子が殺到して、そのグループに入るための選抜試験がまた行われるようになって。最終的にはクラスみんなの漢字力が上がってましたし、最後は漢検受けに行ったら、受けた子はみんな受かったんじゃないですか。
中村:凄いですよね。あと、OK Googleの先は何だという記事も読んだんですけど、教育でもこれはGoogleに聞けばいいんじゃないということが出てきていて。その時代にどういう問題意識をもってらっしゃるんですか?
沼田:昔だったら図書館に行って戦国武将について調べて書き写してきたらよく勉強した子じゃないですか。でも、今、OK Googleと言ったら一瞬で出てくるんですよね。それを読んでどう思ったかと意見を書くことはAIにはできないことなので、調べたことにプラスして自分の意見、考察をちゃんとつけるというのがこのOK Googleの先ですね。
たとえば、東京都を調べているときに東京都の公園の数は日本で一番多いと言ってきた子がいたんですよ。私は「ふーん。それで?」と。すると、次考えてきたのが公園の面積が3位ですと。1位が北海道、2位が兵庫県、3位が東京。東京都の面積自体が45位。ということは他県に比べて、東京都は公園の割合が圧倒的に高い県と言える、だから東京は公園だらけと言うんですね。
そんなこと全然思ってなかったけど、データを出されて「おーっ」と思って。それ自分で考えたよね? と聞くと、「考えました」。凄いじゃんと。面白いのいっぱいやってましたよ。「すぐそこ何メートル」というのもありました。
権八:何ですかそれ?
沼田:子どもたちのおじいちゃん、おばあちゃんって日本全国にいるんですよ。それで、そのおじいちゃんおばあちゃんや知り合いに連絡をとりまくって、「すぐそこにコンビニがある」と言われたら、それが何メートルか調べるんです。
権八:面白い。感覚ですもんね。人によって違いますよね。
沼田:彼らの調べでは一番近いのが東京で50何メートル。一方で、北海道は560メートルぐらいだったらしいです。
中村:「すぐそこ」がね(笑)。
沼田:それで面白いと思ったら、先生まだ続きがあると。じつは「すぐそこ」は1分以内ということがわかったと。つまり車を使うから。それに似た感じで車の保有台数が似てると言ったんです。すげーと思いました。
中村:それは確かに考察と分析ですね。
沼田:OK Googleどころか先生の想定も超えていきましたからね。
中村:子どもが出してきたんですか?
沼田:そう。僕が出張に行ったとき、岡山県に行って、「コンビニどこですか?」と聞いたら、「すぐそこちょっと行ったところ」と言われてなかなかなくて。という話を子どもにしたら、子どもが「それデータとったら面白いね、ぬまっち俺たちがやるわ」とみんなでやりだしたんです。
権八:何ですかね、これ。選抜された特別優秀クラスというわけじゃないんですよね。どんどんそういう子たちに変貌していくんですか?
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