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メディア対応の判断基準を知ることで、業務スピードが4倍に

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ホームセンター大手のカインズは1989年設立。2021年5月現在、全国に226店舗を展開する。コロナ下の巣ごもり需要を取り込み業績は堅調。現在は店舗のDX化に注力している。

広報部ブランドコミュニケーション担当としてメディア向けの広報を担う猪股 万莉子氏に、20年6月に開講した第32期「広報担当者養成講座」の受講のいきさつや受講時の学びをどう生かしているかについて聞いた。

—現在の広報体制とミッションについてお聞かせください。
広報部は2つのチームに分かれ、3人が社外広報を、1人が社内広報を担っています。

カインズ
広報部 ブランドコミュニケーション担当
猪股 万莉子氏

私が所属するブランドコミュニケーションチームの目標は、2020年度までは「メディア露出を多く獲得していくこと」に重きが置かれていました。2021年度からは、「当社が訴求したいことを自分たちで発信する頻度を増やし、それをメディアの方に取材いただく」という目標を追いかけています。

—これまでのキャリアを教えてください。
2015年4月に入社し、店舗に配属されました。配置転換を経験しながら、売り場で販売業務を、実務を担っていました。

2017年2月に、広島 LECT店の新規開業にあたって、当社で初めて「店舗に在籍する広報担当」となり、イベント運営を中心に運営しました。

2020年4月に、本社(埼玉県本庄市)の広報部に異動して現在に至ります。

—『店舗に在籍する広報担当』は珍しいですが、その狙いとは?
きっかけは、2016年にオープンした福岡新宮店でした。当時、九州初出店という話題性もあり、地元のメディアから取材のお問い合わせを頂くことが多かったそうです。本部が関東という事もあり、距離による制約があるため「もっとうまく対応するにはどうしたらよいか」と思うようになったそうです。そこで、地域のメディアの方ともより良好な関係をつくるために、「現地に広報担当が常にいる状態を試してみよう」と発想の転換があったと聞いています。

—広島での広報活動はどのように行いましたか。
協業企業様と一緒にイベントを企画、時には自らワークショップの運営も多く行いました。また、広島だけではなく、熊本・福岡の店舗にも足を運び、イベントの開催や地域との協業活動に参加しました。

この頃は、未経験のひとり広報ならではの悩みも多くありました。当たり前ですが、店舗の販売スタッフに広報のノウハウはありません。一方で、本社の広報部は別部署ということもあって、疑問に思った時にすぐに尋ねることができる環境ではありませんでした。。

そのため当時は、自分のことを「野良(ノラ)広報」と割り切って、毎回 インターネットでプレスリリースの書き方やメールの送り方を検索し、こうしたら上手くいくのではないか、と思ったことを手探りで実践してきました。

—2020年4月の本社広報への異動のきっかけは何でしたか。
前任者の方の産休と聞いています。広報業務の適性は、実務をしないと判断できない面が多いため、私が店舗で広報業務をしていたことが判断材料になったようです。「本社での広報もやっていけるだろう」と期待されてのことでした。

—20年6月のオンライン開講『第29期 広報担当者養成講座』を受講した経緯は。
2017年に広島で広報担当になった頃から、この講座を受講してみたいと思っていました。ただ、当時は教室開催のみであったため、広島から東京や大阪の教室に通うことは難しいと諦めていました。

今回の異動を経て、上司から本講座の受講を推奨されました。願ったり叶ったりで嬉しかったです。

—講座で学んで変化を感じていることを教えてください。
講義では、基本的な広報の概論はもちろん、一段上の戦略と実践のポイントを学ぶことができました。

まずは、3年間「野良広報」として頑張って身につけた知識や実践したことを振り返ることができました。「正しかったこと、もっと工夫した方が良かったこと」の確認ができ、「これから目指すべき方向性」も見えてきました。

また、受講を通して、「目指すべき広報活動」の判断基準ができたため、何ごとも臆することなくチャレンジできるようになりました。例えば、メディアの方にメールを送る時に、以前はいつも手が震えていたのですが、それが無くなりました(笑)。また、メール1通の返信に20分かけていたものが、5分前後で書けるようなりました。

広報業務全体を通して、広島にいたころの4倍ほどのスピードで量をこなせるようになり、かつ臨機応変に対応できるようになりました。

—講義の学びから、具体的に実践していることを教えてください。
攻めの広報を行うために、プレスリリースの配信数を増やしながら、常に新しいニュースを発信するよう心がけています。

前任の頃は月に平均4本程度のリリースを配信していたようですが、例えば今月は7本配信しました。

また、リリースの内容も、以前は新店オープンや季節ごとの決まった内容に限られていましたが、各部門から広報をしてほしい情報を吸い上げ、ニュースバリューを高めて柔軟に発信するようになりました。

—現在、どんな成果や手ごたえを感じていますか。
当社が、コロナ禍で注目される業種という前提もありますが、商品のメディア露出から、販売数と売上が上がったと実感しています。

例えばテレビ番組では、情報番組の「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)に11週飛び連続で取りあげていただけたり、ゴールデン帯で30分にわたって紹介いただくなど、視聴率の高い番組で紹介されたことが販売に大きく貢献しました。

また、メディアの方との事前打ち合わせで、オンラインで商品を実演して提案していくのですが、それが採用されて、オンエアから実売につながっていることは嬉しいです。

—社内の情報集めに苦労される広報担当の方は多いですが、どんな工夫をしましたか。
まず、講義で学んだ「社内の御用聞きになりきって、情報を足で稼ぐ」ことを実践しました。

各部門が広報発信の相談を気軽にできるように工夫したチャットルーム

商品部だけで100人以上の社員がいます。異動当初は知らない人だらけで、誰に何を聞けばよいか分かりませんでした。そのため、フロアを徘徊して、些細なことや雑談も含め、積極的にコミュニケーションをとるようにしました。自分からコミュニケーションを取ることで、個別に色んな情報を教えてもらったり、関係の方を紹介してもらったり、融通してもらえるようになりました。

また、オンラインツールのチャットツールで、「PRの相談がある方はここに連絡してください」というチャンネルを設けました。投稿があったら、カジュアルにヒアリングして、ニュースバリューがある点や、掲載が狙えると思うメディアをフィードバックして、発信に移っています。

—その他に受講して良かったと思うことを教えてください。
同じブランドコミュニケーションチームのメンバーも、第31期の講座で学んでいるのですが、共通言語ができて、お互いの広報対応をより良くするための指摘をしたり、実務をフォロー合えていることも良いと思っています。

—広報担当者として、これから実践していきたいことは何ですか。
今、多くのお客さまには「カインズはホームセンターの会社」と思われていると感じますが、これからは「カインズはカインズという業態の会社だ」と思ってもらえるブランディングがしたいです。また、講座で学んだ「想起集団の1位」はカインズ!と思っていただけるような広報をしたいです。

そして、従業員の皆さんが、カインズで働くことをより誇りに思って、ウキウキする環境づくりにも、広報の面から貢献していきたいです。

そのためにもまずは、商品だけでなく、「カインズにいる人は良い人が多いよね」と思っていただけるように、人の広報露出を進めていきたいです。

広報の考え方を体系的に習得するため、猪股氏が受講した講座は……
広報担当者養成講座でした。
 
広報業務の重要性が高まる一方で、業務の基本、また新常態で広報がカバーする分野を実務に活かせるレベルまでを学ぶ機会は少ないものです。
 
本講座は、広報に求められる資質、社内情報が集まる仕組み、報道関係者への対応など広報が身につけておきたい基本を全10回でマスターできるカリキュラムとなっています。
 

<次回の開催日程 〔オンライン開講〕>

講義日程:
第32期 2021年5月28日(金)開催
第33期 2021年9月3日(金)開催
 
受講定員:60名を予定
 
詳細はこちら
 
お問い合わせ
株式会社宣伝会議 教育事業部
MAIL:
info-educ@sendenkaigi.co.jp