コラム
人の知をどう活かすか—HR Tech時代のナレッジ活用と関係のあり方を探る
組織の人事や経営に関わるテーマは、近年「人的資本」「エンゲージメント」「心理的安全性」など、多くのキーワードで語られるようになっています。しかし、それらの概念が流行語のように扱われ、本来の意味や前提が十分に整理されないまま、施策や制度として導入されてしまうケースも少なくありません。そこで本コラムでは、組織研究の視点から、人と組織をめぐる議論の背景や構造を読み解きながら、企業が向き合うべき本質的な課題を探っていきます。
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第5回第5回:誰のための「人的資本開示」か —従業員の信頼を失わないために
企業の競争力を測る上で、従業員が持つ知識やスキルといった「人的資本」の重要性が広く認識されるようになりました。この流れを受け、自社の人的資本に関する情報を開示する企業が増えています。その主な目的は、投資家からの市場評価を高めたり、優秀な人材を惹きつけたりといった、社外の関係者に向けたものが中心です。 -
第4回第4回:なぜ「知識」は共有されないのか — 知識隠蔽が起きるメカニズム
人的資本経営において、従業員一人ひとりが持つ知識や経験は、企業価値を高めるための「資本」です。この資本の価値を引き出す鍵は、組織の中で知識が円滑に流通し、組み合わさり、新たなイノベーションを生み出すことにあります。しかし、多くの職場で、知識が共有されずに滞留する、あるいは意図的に流れが止められる問題が起きています。これが「知識隠蔽」と呼ばれる現象です。 -
第3回「エンゲージメントスコア」の呪縛から逃れるために
人的資本経営への関心が高まる中、「エンゲージメント」は組織の状態を表す指標として、多くの企業でスコア向上が課題とされています。しかし、スコアに一喜一憂するあまり、本質が見失われていないでしょうか。そもそも、「エンゲージメント」という言葉は、何を指すか共有されていますか。本稿では、多くの企業が直面するこの問題について検討し、スコアに振り回されずに、従業員の意欲と組織の成長につなげるための考え方を示します。 -
第2回心理的安全性という「万能薬」への警鐘
人的資本開示への要請が高まる中、多くの企業が組織の状態を可視化し、その価値向上を目指すデータ活用に乗り出しています。その文脈で今、「心理的安全性」という指標が注目を集めています。パフォーマンス向上やイノベーション創出の鍵とされ、測定と向上に関心を寄せる企業は後を絶ちません。 -
第1回HRデータ活用の罠—仮説なき分析はなぜ失敗するのか
HRテクノロジーの普及や人的資本開示への要請を背景に、多くの企業で人事領域におけるデータ活用への期待、いわば一種の「熱狂」が生まれています。その一方で、「最新のツールを導入し、データを集めたものの、どう分析すれば良いかわからない」「分析レポートを作成したが、当たり前の結果しか出てこず、次の一手につながらない」といった課題に直面している企業は少なくありません。本稿では、こうしたHRデータ活用の失敗がなぜ起きるのか、その構造を解き明かし、データ活用の考え方について探っていきます。
神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。近著に『組織内の“見えない問題”を言語化する 人事・HRフレームワーク大全』(すばる舎)、『世界の研究者はマネジメントをどう分析しているのか』(労務行政)、『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)などがある。2022年に「日本の人事部 HRアワード2022」書籍部門 最優秀賞を受賞。東京大学大学院情報学環 特任研究員を兼務。
神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。近著に『組織内の“見えない問題”を言語化する 人事・HRフレームワーク大全』(すばる舎)、『世界の研究者はマネジメントをどう分析しているのか』(労務行政)、『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)などがある。2022年に「日本の人事部 HRアワード2022」書籍部門 最優秀賞を受賞。東京大学大学院情報学環 特任研究員を兼務。