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コラム

i(アイ)トレンド

iMedia Brand Summitで見た、アドテク業界の進歩

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先週5月20日から23日まで沖縄残波ロイヤルホテルでiMedia Brand Summitが開催された。DMG Events Japan主催の本イベントは今回で第3回を迎えるが、過去最高の300人を超える参加者を擁す一大イベントへとなっている。

連日行われる国際級のキーノートスピーチに加え、参加者間で行われた熱い議論や、夜遅くまで続く参加者間の交流が例年通り続いたのである。特に圧巻だったのは最終日に行われたビーチパーティで主催者、ダイワハウスグループそして出演いただいた沖縄の皆さんのおもてなしの心に参加者一同感動したのではなかろうか。

しかし筆者が今回このカンファレンスに参加して感じたのはベンダー、特にアドテクソリューションベンダーの充実ぶりである。数年前までは小さくあるいは存在しなかったような会社がそれぞれ陣容を増やし、業績を上げつつある状況を見ると着実に業界が育ってきており、カンファレンスの内容からしてそれが益々加速しているように感じたのは私だけであろうか?
 
カンファレンスの内容に戻ろう。初日の20日には恒例の英語でのWelcomeコメントを本年よりDMG Event、iMedia Brand Summit Japan Chairmanに就任した西谷大蔵氏が飾り、武富DMG Japan代表のあいさつの後に国際メディア評論家のShelly Palmer氏のOpening Key Note “Marketing in a connected World”が行われた。

氏は、「ムーアの法則」、「メトカーフの法則」、「収穫加速の法則」の三原則を挙げてこれまでの世の中の推移を解説し、今後の世の中の大きな変化やそれに伴う消費者の変革を大胆に予想し、日本でもそれが将来ではなく「今」それが起こっているということを強調したのである。技術革新は消費者の行動様式に変化を与えなければいけないというモットーをベースに日本のマーケターに「今でしょ!」と流行りのフレーズを駆使して迫る氏のスピーチには大きなインパクトと説得力があった。

スピーチ後Palmer氏と話したら「通訳に気を遣って、今までの人生で最もゆっくり喋った」ということであるが、実際はそれでもかなり早口で通訳もきちんとついてゆけなかったようである。氏のスピーチは以下ブログにもまとめられているので是非興味のある方はご覧いただきたい。

徳力基彦氏のブログ
中谷和世氏のブログ

20130529

Photo by Mike Homma

その他にも今回のコラムに書ききれないほどの講演やプレゼンテーションが続いたのであるが、今回の企画の中で最も秀逸と筆者が感じ、また参加者のFeedback Sessionの中でも絶賛されたのがグループディスカッションであった。このセッションは2日間にわたって行われ、グループごとに様々なテーマに関して話し合い、結論をまとめいくつかのグループはそれを発表することになっているのである。

各グループにはそれぞれファシリテーターが任命され、エージェンシー、ベンダー、クライアントと企業担当者がバランスよく配置されていたために深い多面的なディスカッションが行われた。筆者はグループのモデレーターを務めさせていただいて非常に多くの色々な意見を拝聴することができて大変に参考になった。特にマーケティング活動の社内への普及という点に関しては話した時には大きな気づきがあったので以下にまとめてみた。

 ―マーケターの社内プレゼンスを上げるには
 ―個人の意見ではなく、調査データを基にした”消費者の声”を社内に届ける必要があるのではないか?
 ―”消費者の声”の代弁者となり、経営陣の意向を組んで社内色々な部署の調整が可能になるのではないか? これにはローカルの事情をグローバルに浸透させる意味も含まれている。
 ―そして、そのためには“社内マーケティング”のためのリソース(ある程度の予算や人材)を確保し社内マーケティングを実践する必要があるのではないか?
 ―マーケターは現在主に”社内事情の社外への発信”を業務としているが”社外(消費者の声やインサイト)”を社内にコミュニケーションすることもタスクに入れたらよいのではないか?

まさにそれはコミュニケーションの専門家であるマーケターが社外の顧客のみならず社内の利害関係者に対しても上手く施策を告知することによって社内変革をするということである。キーノートでPalmer氏は進化が速い世の中で経営層に消費者の変化を理解させる方法として「リバースメンタリング」という方法を進めていた。通常メンタリングとは年配の経験者が経験の少ない人間に対して行うコーチングのようなものであるが、逆に新入社員などが経営陣に最新のテクノロジーを教えることである。

このことにより、世の中の変化を理解しより早く消費者の変化に対応した商品やサービス、キャンペーンを世に出せるのではないかということであった。ぜひそのような施策を日本で実践した企業の事例を聴きたいと思っている。