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ブレイクスルー日本人、「個」の力が加速する

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変化を前提とした社会を作ろう

個が輝くために、いま障害となっているものは何かという話題では、主に教育について論じられた。為末氏は、暗記や「型」を重視する日本の教育が「平均化することについて極めて優れた教育システム」と評し、その中からどうやって個を浮き立たせるかを考える必要があると話した。

夏野氏も「教育で一番大事なのは、いろいろな経験の中からコレは好きだと思うものを見つけること」とし、得意分野を伸ばす方向へ進むべきだと提言した。

八塩氏は、いろいろな経験をさせることがお稽古ごとに行かせることになってしまっている自身の子育ての状況を振り返り「お稽古ごとだけが選択肢ではなく、もうちょっと広く教育を考えて、経験や好きなこととの出会いをどこで見つけてあげるかが重要」と話した。

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一方で出雲氏は、個の際立った子供が出てきたときの対応について、「型破りな子が出てきたときに、それを見極められるプロが褒めて、認めてあげることが自信につながる」と話し、個を伸ばす教育環境と、それをしっかり評価する体制がセットにならないと機能しないと話した。

個が注目され、評価される社会を実現するためには、多様性に対する理解が必要となる。その中では、社会も個人にも変化が求められる。

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夏野氏は「変化を前提にした社会を作るべき」だと提案。個人の変化については、名刺の肩書きや企業名でビジネスを行う習慣が責任感の薄さにつながっており、「組織のためにやっているという認識を、自分の仕事を自分のためにやっているという意識を持つだけでも変わると思います」と八塩氏は指摘した。

どうすれば輝く個を見つけ出し、活躍させられるのかという話題では、出雲氏は「集団の母数が多くなればなるほど才能は見つけにくくなる。組織としても研究の観点でも、適切な才能を持った人をスクリーニングして見つける方法は考え続けています」とその難しさを話した。

また為末氏は「人は意外に自分の扱い方を知らないのではないか」と推測し、メジャーリーガーのイチロー選手がオリックス・ブルーウェーブ時代に仰木彬氏に出会ったことで才能を発揮した例を挙げ、周りの人に自分の生き方を教わるという方法もあるのではないかと話した。

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一方でITの世界では、ツイッターなどのソーシャルメディアで、周囲から才能を見いだされるような動きはすでに起こっており、個人のつぶやきが何らかの的を射たときに、急速に拡散していく姿を夏野氏は「才能発見器」と表現。「ITは組織に属していなくても、たくさんの情報を得たり、発信することができるので、個の時代の強力なツールだと思います」と語った。

ビッグデータを活用し自分自身を理解する!?

また為末氏からも夏野氏のITの話題に関連し、「アスリートは個人競技の経験者とチームスポーツ経験者の性格が違うが最近、その違いが競技経験によるものなのか、自分に合った競技を選んだ結果なのかを考えている。ITやそれにひもづくビッグデータの活用で、そもそも確固たる自分があるのか、周辺の環境に合わせて自分になっていくのか、解明されていくと興味深いと思います」と話した。

さらに、スポーツの世界で言えば、この技術が機能するようになれば自分に合ったスポーツを選び、またスポーツによって自分のあり方も選択できる時代が来るのではないかとの予測も示した。

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最後に2020年という目標を八塩氏は「自分の価値、自分が属する会社の価値、所属する業界の価値を見直すきっかけになればいい」と話し、個人だけでなく、日本という国としても東京オリンピック・パラリンピックでどんな価値を提供できるのか、あらためて考えることで見えてくるものもあるのではないか提言した。

個人それぞれに価値があり、それを互いに認め合う多様性のある社会を実現していくことがコミュニティの本質であり、2020年以降へもつながる世の中のあり方であることを提示したパネルディスカッションとなった。

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