コラム

良いコピーをどうやって書くか、ということより先に知っておかないといけない話。

千円札食ってみなさい。

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今の若いコピーライターの案を見ると、金太郎飴の世界で、同じような発想ばかりで驚くアイデアが見当たりません。
どれも上辺だけカタチになった、模範解答的なもの。
彼らはとにかく正解を先に求めたがる。
たぶん、自分を飛ばしちゃってるんです。
そういう人たちを見ていると、「根」がないかんじがします。
根がないのに手っ取り早く花を咲かせたい、と考えているような…。

ここらで広告コピーの本当の話をします。』小霜和也氏著。2月3日(火)19時から紀伊國屋サザンシアターで出版記念セミナーを開催。詳細は末尾をご覧ください。

いま宣伝会議で若手コピーライター向けの専門クラス講座をやってるんですけど、サントリーの重野さんとカゼプロの戸練さんに協力してもらって、演劇セミナーというしつらえにしたんです。
社員2名の弱小エージェンシーカゼプロがクリエイティブ強化だとかいってコピーライターを50人採用した。
そしたらサントリーから新商品のネーミングとコピーの依頼が来た。
という設定で、受講生はその50人の新人コピーライターとして、オリエン、打合せ、プレゼンに参加するわけです。
そういう講座って通常はCDが受講生のコピーを見て評価したりするんでしょうけど、CDの推すものがクライアントに通るとは限らないし、それが正しいと思い込むのも危険。
広告主の事情や営業の立場やいろんなものが絡み合って表現物は決定されていくのであって、そのダイナミズムを掴んでほしいと思ったわけです。
ただうまくいくかどうかわからないから、かなり不安でドキドキしました。
逆に言えば、自分がドキドキしたかっただけかもしれません。
後で気づいたんですけど、講師料を3人で割って、声優の経費とか払ったら僕は赤字。
あまりに割に合わないのでたぶんもうやらないと思います。
結果的には参加50人中48人が「満足」「大満足」だったそうなのですが、僕はそこにはたいして興味ないんです。
ここ数ヶ月でセミナーやら研修やら講義やらかなりやっていて、どれも最高の得点が出ているそうで、アンケート結果とかがメールで来ますけど、いっさい見ない。
自分をどう壊すかにしか興味ないんでしょうね。
再来週、紀伊國屋で対談イベントやりますが、そこでは自分の首絞めるようなことをあえて言ってみようかと。
これもドキドキ。
コピー作業も企画作業もぜんぶ同じで。
自分を揺さぶった結果が「サプライズ」というものなんだろうと思います。

言っときますが、ほんとに千円食っちゃダメですよ。
後日談ですが、その後胃が痛くなりまして、吐いたら千円札が真っ黒の細切れになって出て来ました。
2日後ぐらいに栃木の日産テストコースで夜間ロケがあったんですけど、その立ち会い休ませてくれって言ったんです。
ところが「何を言ってる。そんなもん、肉食ったら治るんじゃ」とか怒られて、夕方新幹線で宇都宮に着いてから、安藤さんと商店街の焼肉屋に入りました。
で、カルビ食ってたら不思議と治まってきたんです。
「痛みがなくなってきました」と言ったら、「だから言っただろう」って。
壊れまくり。

次回は「無料広告学校というCSR」です。

第150回紀伊國屋サザンセミナー

「自前コピー、自前PR。自前広告の時代」

小霜和也氏×本田哲也氏
2月3日(火)19時~ 開催決定!
詳しくはこちら

小霜和也(小霜オフィス/no problem LLC. 代表)
Creative Consulting / Direction / Copywriting
1962 年兵庫県西宮市生まれ。1986 年東京大学法学部卒業。
同年博報堂入社、コピーライター配属。1998 年退社。
2014年現在、株式会社小霜オフィス no problem LLC. 代表。

著書に『ここらで広告コピーの本当の話をします。』(宣伝会議刊)

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