リアルの体験を価値あるデジタル体験に落とし込む
——最近の社会動向や消費者動向で気になっていることはありますか?
企業活動においてデジタルの領域がますます無視できなくなってきていると感じています。でも、同時にデジタルの限界も感じているんですよね。例えば、「ラーメン屋さんから伸びる長い行列」は、すごく訴求力がある。「こんなに並んでいるなら、この店はすごくうまいんだろうな」とひと目で感じさせられる。でも、ネットの動画で「現在の視聴者は○万人です」と表示されても、瞬間的にすごさが伝わらない。ただの数字になってしまい、行列のようなインパクトがありません。行列は、「行列ができている」という事実が、見る側に理由を連想させることで期待値が上がる。それをデジタルで実現するのは難しく、なんとかできないかといつも考えています。
——今後、取り組みたいことについて教えてください。
いまの話と関連しますが、企業が売るものが、商品から経験やサービス・体験へと変化するにつれ、「顧客体験のデザイン」が強く求められるようになりました。そうなれば、当然、我々の組織・働き方を変える必要があります。
具体的には、組織の真ん中に「顧客体験」を置き、営業も製造もシステムも、すべての部門が顧客体験から切り離せないという体制です。マーケティングの中心に顧客体験を置くのは当然のことでしたが、これからは「経営の中心に顧客体験を置く」ことが求められます。
我々が行っているサイトの改善も、最終的には顧客体験のため。だからこそ、まずは自社の社員一人ひとりの体験の質を高めていきたいと考えています。「改善者であれ」というのは、「社内から変えていこう」というメッセージでもあるのです。それを積み重ねていき、顧客に対して素晴らしいサービスを提供していきたいと思います。
須藤 憲司
Kaizen Platform, Inc. CEO
2003年に株式会社リクルートに入社、2013年にKaizen Platform, Inc.を米国で創業。UI改善プラットフォーム「KAIZEN PLATFORM」を提供。エンジニアやデザイナーがいなくても実現できるWebの継続的な改善が市場に受け入れられ、すでに大手企業150社、40カ国3,000カスタマーで活用されている。
「企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方」バックナンバー
- 「『俯瞰で捉える力』を生かしプロとしての専門性を高めてほしい」——メジャース 山本社長に聞く(2015/7/07)
- 「プロとしての誇りを持ち、もっと自らを肯定して仕事に臨んでほしい」ーベクトル西江社長に聞く(2015/6/10)
- 「新卒研修を半年実施し高い目線で考えることを学ぶ」——ネットプロテクションズ 柴田社長に聞く(2015/5/22)
- 「与えられたポジションに対して力が足りないほど、その差を埋めるスピードはあがる」――エンターモーション 島田社長に聞く(2015/4/30)
- 「“べき”ではなく“たい”が新しい価値を生み出す」——インフォテリア 平野社長に聞く(2015/4/20)
- 「創造力を駆使して顧客に期待以上の提案ができるか」——ビートレンド 井上社長に聞く(2015/4/07)
- 「情熱をもって行動し、その熱量で周囲を引っ張っていけるのがリーダー」——カタリナ マーケティング ジャパン 若林社長に聞く(2015/2/26)
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