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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

悩める後輩コピーライターへ贈る言葉 — 博報堂 下東史明の場合

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[寄稿者一覧はこちら]

【前回のコラム】「コピーライターはSでもMでもおんなじくらい「ぞくぞくできる」お仕事」はこちら

「後輩に贈る」というテーマですが、これは3月末に開講される授業の宣伝です。宣伝なら読みたくないや、と考えず少しだけお付き合いください(時間の損はさせないようにします)。

野球選手が野球教室を開く際、よく目にするのが「野球選手になるための精神論を語る」光景ですが、実はバットの持ち方や体の使い方、捕球の仕方についてもきちんと子どもたちへ教えています。

予備校や塾の講師が「こうやってこの問題を僕は解きました」「僕はこんな試験を受けてきました」という話に終始した。と仮定すると、皆さんはどう感じますか?

「いや、あなたがどう解いたか、ではなく、私が解けるようになるには何を知ればいいか教えてください」と思うはず。少なくとも私はそうです。

コピー講座も「授業」である以上、私は皆さんに「定理」「方程式」のようなものを学んでもらうつもりです。精神論は一切ナシです。

例えば第1回では、コピーとはそもそも何を指すか知ってもらい、良いコピーが備える3条件、良いコピーを書く上で必要な8つの「新しくする対象」を教えます。この段階で皆さんは「コピーとは言葉でなく意味をつくる」ことを理解できるようになります。さらに、コピーのディテールを良くする言葉の「ズレ」をどう作るかも教えます。その場でも実践してもらいます。

毎年、2.5時間の枠では足りず、3時間くらいになってしまいます。これまでの私の仕事の表面や自己紹介をする時間はありませんので、私について知りたい方は個別にご覧に入れるようにしています。

第1回「コピーを生み出す」の後は、第2回「コピーを育てる」へ参ります。コピーは創作活動でも自己満足でもなく、あくまで「商品」です。このコピーは良い、買います、とならないとメモ帳に留まったままで世の中へ出ることがありません。だから、コピーを買ってもらうための技術を学んでもらい、実践へ移り、技術を身につける訓練方法も教えます。電車の中でもすぐできるけれど、なかなか噛みごたえがある訓練です。

そして第3回(最終回)は直接的なコピーから離れ、「自分自身の知性を高める」ために何をすればいいか、という回です。切り口や視点といった曖昧な考え方を批判できる知性を身につけてもらいます。妄想と想像の違いから、世の中や言葉に潜む記号の良否を判断してもらうほか、「本質」とはそもそも何か、「本質」を考えるためのテクニックを教えます。第3回は全3回で最も長時間に及び、さらに「アイデア」「予感」「理解」「学び」の仕組みについて皆さんと一緒に考えていきます。

全3回のアウトラインを知って、「何やら小難しいな」と思われるかもしれませんが大丈夫です。丁寧に一つひとつ教えます。もちろん、僕が勝手に考えた技術や訓練方法でしょうが本や誰かの受け売りではなく、一昨年に本講座が始まる際に半年以上かけて一から整理しました。

最終目標は「皆さん自身が自分で勝手に学べるようになる」こと。むしろ全3回はそのための準備と言えるかもしれません。講座が終わっても仕事や人生は続きます。その過程できっと損はしない、むしろ役立つ知性というものを永続的に養ってもらいたいからです。もちろん知性や学び方は人それぞれ個性があり、その個性がコピーの個性にもつながっていくはず。

コピー以外のすべての「頭を働かせること」へも有用だと確信していますので、興味をお持ちになった方とぜひ、実際の授業でお会いできるのを楽しみにしています。

下東史明
博報堂 コピーライター

1981年 京都市生まれ。2004年 東京大学法学部卒業。同年(株)博報堂入社。第四制作局、第一クリエイティブセンターを経て現在、統合プラニング局。主な仕事にMINTIA「俺は持ってる。」、一本満足バー「まんまん満足。」、カルピスウォーター「ぜったい、いい夏に、しよう。」「キュン飲みしてる?」「私は好きだから。」、AQUOS「活きる力を起動する。」、エアーサロンパス「スポーツが好きだ、大好きだ!」、GABA「ハイ、そこでGABA。」、大和ハウス「アスフカケツノ」、GreenBird「ポイ捨てカッコ悪い」「ポイ捨て反対」、味の素「スープDELI」、NTTグループ「つなぐ。それは、ECO」、住友商事「もがき楽しめ。」、胡麻麦茶「血圧川柳」「高橋克実さん」、イエローハット、KOSE、JAL、IROZA、ほか。受賞歴にTCC新人賞、TCC審査委員長賞、ヤングカンヌ日本代表、JR東日本ポスターグランプリ金賞、日経広告賞、One Show(Merit)、新聞広告朝日賞、アジア太平洋広告祭ブロンズ、交通広告グランプリ作品賞著書に『あたまの地図帳』(朝日出版社) 『トレインイロ』(朝日出版社)TCC賞審査員、宣伝会議賞審査員も務める。

 

下東さんが講師を務める、コピーライター養成講座先輩コースが3月25日(土)より開講します。くわしくはこちらから 
 

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「コピーライター養成講座」
講師は一流のコピーライターが直接指導 プロを育てる実践型カリキュラム
いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。
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