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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

「バズ狙い動画を卒業した後の進路は、質の高いドラマではないか」 — 資生堂・宣伝デザイン部 植木彩さんに聞いて考えた

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「不特定多数」に対する広告コミュニケーションなんて必要ない

この話を聞いて、私は「君の名は。」のプロモーションの話を思い出しました。去年書いたこの記事のこのページに出てくるこの図とよく似ていませんか?

一つひとつは小さいけれど、ターゲットに届く施策をコツコツこまめに積み重ねたら、日本映画の興行史に残る大ヒットとなった。ターゲットを明確にしてこまめな施策でつながっていく、というコミュニケーションプランが大事であり、その中で動画が非常に大きな役割を果たしたのが「ランドリースノー」だと言えそうですね。

植木さんのお話を聞いていて、コピーライターの新しい姿だなと思いました。彼女はこうも言うのです。「コピーが映える場所を自分でつくりに行くことが大事だと思っている」と。

コピーライターがコピーライターをやめて、コミュニケーションプランニングをしているのではなく、あくまでコピーライターとしてこの仕事に取り組んだことがわかります。何か表現物をつくることは、そのコミュニケーションまで含めた全体像を練ることでもあるのだなと感じました。

この「ランドリースノー」のお話を、前半に書いたYahoo!とアドタイのことと重ね合わせると何かが見える気がします。誰とコミュニケーションするかが大事だし、必ずしも大量のリーチが必要なわけではない。

「バズを狙うムービー」も、不特定多数が相手だと思い込んじゃうと、誰彼なく話題にしてもらうことばかり考えちゃって、炎上しちゃったりするのでしょう。もう「不特定多数」に対する広告コミュニケーションなんて、必要ないと考えた方がいいのです。

大事なのは、くっきりと描いたターゲット像と、そこに届くのはどんな映像か。そして、それをどうターゲットの人びとに送り届けるか、受けとめてもらうかです。そうしたら、ほら、Webで映像にできることが、広がっていきませんか?

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Borer 」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書「拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―」。株式会社エム・データ顧問研究員としても活動中。お問合せや最新情報などはこちら