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コラム

編集・ライター養成講座修了生が語る いまどきの若手編集者・ライターの生き方

「好きを仕事に」は甘いのか? 私がフリーのライターになる覚悟を決めた瞬間

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否定されたら黙って反骨心を燃やせ

実は、否定されるたびに反骨心を燃やしていた。好きなこと、楽しいことに自分の人生を費やした方が力を発揮できるし、幸せだ。それに、自分の人生くらい自分で決める。自分で選択したのだから、責任もリスクも負う覚悟はある。だから「そんな甘くないよ」と言われると「ずいぶんなめられてるなあ」と思い、「絶対に一泡吹かす」と心中で誓っていた。

「無責任に背中を押すな」という人も一定数いるが、相手が失敗した時の責任感から逃れたいだけで、相手の可能性を潰すリスクは全く考慮していない。そもそも、成功しようが失敗しようが他人は責任を負ってくれない。また、違う道を歩もうとする人をけん制するのは、自分の選んだ道が正しかったと信じたいからだ。こうした無益な妨害を受けないためにも、ライターになりたいならライターと、独立したいなら独立した人と話すことをおすすめする。

自分を信じるための努力を惜しむな

私が独立を決めたのは、コールセンターに異動になった化粧品会社(前回のコラム参照)から社史制作会社に転職し、半年ほど経った時だ。ようやく名刺に「ライター」と印字され、おお、と小さく声を上げた。しかしうまくいかないもので、私は社史制作に全く向いていなかった。言い訳だが、社史制作はかなり特殊で、資料集を書くようなテクニカルライティングが求められるのである。創業時から現在に至るまでの決算報告書(数十年分)を調べて会社の変遷を書けと言われたが、目線が左から右へ動いていくだけで、数時間かけて読み終えた時に頭に何も入っていなかった。しかも土日休みはなし。私は早々に「興味もなけりゃ適性もないな」と見切りをつけ、独立の意志を固めた。

否定されると足かせになるので、独立の相談はほとんどせず、親にも言わなかった。それに、私は私を信じていた。社史制作能力は皆無だったが、副業で記事を書き続けて手応えを感じていたからだ。人と違う道を選ぶ時は、自分を信じる力がいる。自分を信じるには実績が必要で、実績を作るには努力が欠かせない。自分を信じたいから、努力は惜しまなかった。

「ライター募集」と検索すれば、たくさんの案件がネット上に転がっている。ひとつひとつが好機なのだから、掴んで自分のものにしよう。そして、人から技術を学び、うまくなるための努力を継続しよう。金額が全てではないが、私はライティング関連の講座受講費に累計50万円はかけた。今の収入と照らし合わせると、じゅうぶん元は取っている。

次ページ 「世の中は優しいと知る」へ続く