コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

Aカテは職人化、Bカテは越境して広がり続ける!? ACC賞フィルム部門 佐久間宣行(テレビ東京)審査委員×澤本嘉光審査委員長が対談

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プランナーの在り方

澤本:仮にテレビがまったく衰退しないとして、僕はテレビCMは今と同じように15秒,30秒をたくさん流した方がいいと言っているんです。地上波の中で、1分で15秒のCMが4回流れるという今のシステムが大きく変わらないとすればですけど、昔に比べて15秒にまとめられる職人的な人がいなくなってきているので、ここをポイントにプロになろうという20代くらいの若手は食いっぱぐれないと思うんです。
 
佐久間:いなくなってきているんですか。

澤本:僕らの世代は、はじめはラジオCMをつくって秒数感覚を身につけてから、テレビCMで15秒,30秒をどうつくるかという入口を持っていたんです。首からストップウォッチを下げて、自分の原稿を読んで入るか入らないかと。今、首からストップウォッチ下げている人っていないじゃないですか。もうさほど綿密な秒数計算はしていなくて、「だいたいこんな感じ」という企画書を出すとディレクターがやってくれる。大げさに言ってしまえば写真1枚貼り付けて、5行ぐらいのセリフを書いてきて、CMになるときにディレクターが直してくれるというようなことでつくっている人もいると思う。もともとは、この15秒の中に時間を設計することを一生懸命やっていたのがCMプランナーだったんですけど、今はある大きな企画をするのがCMプランナーとなっている感もあって。どちらも悪いわけではないけれど、例えば1990年代のCM審査ではもっとCMの15秒に多様性があったんです。詰め込み方にもいろんな人がいて。それこそ佐藤雅彦さんみたいなのもあったし、それとは全く違うセリフで続ける多田琢さんみたいな人もいたし。今、ある種の15秒のプロはそんなに多くなくなっているから、多様性があるわけではなくなっている気がしますね。

佐久間:なるほど。

澤本:ACCの受賞作を見ていても、過去のほうがいろんなタイプのCMがあったと思うんですよね。ノスタルジーではなくて。むしろ15秒がたくさんあるから、たまに60秒や90秒が流れるとすごく目立った。今、ほとんど受賞作が60秒じゃないですか。それは、15秒で何かしら成し遂げてやろうという欲があまりないんじゃないかと思う。15秒で完結しようという欲が。

佐久間:そうだと思いますね。さっきの話に戻りますけど、ツイッター上で1分の動画ぐらいなら拡散できちゃうから。

澤本:みんなが見ている秒数の標準が、ツイッターやYouTubeなんかで、1~2分くらいになっている。すると15秒が異常に短い。

佐久間:そう感じるかもしれないですね。でも、逆にテレビでは「50分がすげー長い」って言われますから(笑)。僕、深夜に「ゴッドタン」という番組をやってるんですが、「マジ歌」の曲がだいたい2分半くらいなんですね。この1曲だけ、異常に100万再生とかされるんですよ。だから、そういう事態。番組が長すぎると言われる、という。

澤本:それ、おもしろい(笑)。15秒のほうではね、15秒にセリフをたくさん詰め込むようになったのは見る人の動体視力が上がったからだと、まことしやかに言われていたんですよ。昔はゲームをやっていなかったからゲームのような速い展開についていけなかったけど、今は動体視力がついているから見られるんだと。だから15秒にかなりのカット数を入れても問題ないと言ってガンガン入れていたんですけど、今度はゲームどころじゃなくてYouTubeなんかで動画が長くなっちゃったので、そんなに15秒にカット数が入っていると見きれない、気持ち悪い、と言われる。

佐久間:あるでしょうね~。テレビは今逆に、トレンドの編集がYouTubeの影響を受けたものだったりするんですよ。「世界の果てまでイッテQ!」とか。すごい勢いで、ピークでバツンと切っちゃうんです。もっと尺をつくることができるんだけど、盛り上がりでバツンと切って、扉がバーンと開いて、次の展開にナレーションでいっちゃう。きっと、昔だったら「なんだよ」と言われる編集だと思うんです。でも今の視聴者は大丈夫。だからCMだと短すぎて、テレビだと長すぎて、という世代がボリュームゾーンになっていると思います。

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