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コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

Aカテは職人化、Bカテは越境して広がり続ける!? ACC賞フィルム部門 佐久間宣行(テレビ東京)審査委員×澤本嘉光審査委員長が対談

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制約で変わる、バズる動画

澤本:そう考えると、僕ら的にBカテは“最も世の中に合った形で動画を評価する”カテゴリーとして秒数制限なしでやっているけど、もうそうでもないかもしれない。

佐久間:それはあれですね。ツイッターに上げられる動画が長くなりましたよね。そういうたったひとつの制限で、バズる動画が変わってくる。ちょっと前までは10秒くらいのGIF動画だけだったのが、今は2分くらいの動画も上げられるようになり、自分の番組の2分の部分だけ違法動画でめちゃくちゃ回ってくる(笑)。これが5Gの時代になったらまた、まったく違う。まったく違うから、その前までに引退したかったですね(笑)。

澤本:ははは、5G、再来年来ちゃいますね!

佐久間:来たら、ライブストリーミングしている子たちといくらでもできちゃうようになる。

澤本:そうなるとライバルは、ほぼライブになっちゃいますね。

佐久間:あとは今流行り始めている、スマホのバトルロイヤル系。「PUBG」とか「荒野行動」とか、スマホのゲームが5Gになって、しかもお金がかからないとなったら、もうネトゲ廃人がスマホにも出てきますよ。そうなったら、可処分時間というんですか、もう取り合いだなと。ただとにかく今、「スマホで番組を見られると、スマホの画面はシェアできない」という事実に衝撃を受けていまして。ちゃんと家のリビングで見ている番組の方がつぶやいてもらえるという。

澤本:逆に言うと、つぶやかれているものの方がスマホで見られていない番組ということですね。僕らもそういう知識を持った上でつくらないといけないのだけど、きちんとテレビ局などの方と話をしている人は多くないんです。佐久間さんのこの話で「そうなんだ」と感じる人は多いと思う。

佐久間:(笑)とはいえテレビ局も、考えてないと思いますよ。先日「福原伸治×藤田晋×前田裕二×夏野剛」×僕という恐ろしい座談に巻き込まれたんですけど、藤田さんの考え方はすごい明確で、「どう考えてもネットにテレビが同時に流れていかないと衰退するのはわかっているのに、みんながやらないからうちがやりますよ。先行者利益で絶対勝ちますよ」というスタンスなんです。でも思ったより時間がかかっているのは、単純に高齢化ですよね。日本だけが、音楽もCDの売り上げを超えていない。それと同じことが地上波にも起きていて、本当ならネット配信とかが他国と同じくらいのスピードで来てもおかしくはないのに、日本だけテレビ地上波がマーケットを持っている。それは高齢化だから。正直、CMをひっくるめたテレビビジネスが思ったより衰退していないのは、ひとえにそこなんだろうな。

澤本:ベースはそうですよね。制作している人間も、僕みたいなそこそこ中高年がつくっていてもまだ成り立っているじゃないですか。

佐久間:ただ、現状の日本のマーケットゆえそこの変革が遅いと、グローバルな競争に立ち行かなくなっていくのが怖い。僕がどの時代にどういう風に残っていくかはわからないんですけど、今の20,30代のクリエイターはそろそろマーケットと真逆なことをやっても先行者メリットはありそうだなという気はします。僕らが全然知らない映像スペシャリストが、今後出てくるんだろうなと。

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