コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

Aカテは職人化、Bカテは越境して広がり続ける!? ACC賞フィルム部門 佐久間宣行(テレビ東京)審査委員×澤本嘉光審査委員長が対談

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2分の動画、うまいのは誰?

澤本:さっき、15秒,30秒の専門の人が少なくなったと話しましたよね。僕がこんなことを言うのはなんですが、その予算をテレビ局に預けたほうが動画としていいものができる可能性がある。例えばBカテの動画で2分のものをつくってと頼むとき、代理店よりテレビ局で動画をつくっている佐久間さんとかに「2分でみんなが反応しやすい動画をつくって」と頼んだほうが。もっと言えば素人でもつくれちゃう。

佐久間:そうかもしんない。

澤本:素人でもうまい人は、うまいから。

佐久間:ユーチューバーをやっているアイドルはみんな、プレミアとファイナルカット(どちらも映像編集ソフト)を使いますからね。衝撃ですよ。SE集もたくさん持っていて、自分で仕上げていく。ちゃんとやっているユーチューバーはすごいんですよね。

澤本:自分で編集までできちゃうと、自分の頭の中を全部具現化できちゃうじゃないですか。僕がやっているシステムでは脚本家と演出家が分かれているので、それによって頭で思い浮かべているもの以上に化けてくれると嬉しいなということなんですけど。

佐久間:そう、具現化できてしまうのはいいのか悪いのかわからなくて。だからユーチューバーの動画はよほどのことがない限り、爆発的に変わったものにはならないんですよね。パターン化されてくる。だいたいドッキリとか、「〇〇してみた」のような。

澤本:僕が会社に入った時はクソ生意気なことを考えていて、脚本も演出も全部自分で完結したいと思っていたんですよ。でも書いたものを人に任せてみると、「うわ、監督ってすげえ」と。ただそれが、「これぐらい書いておけばこの監督に任せればなんとかなるな」という甘えにもなっていって。

佐久間:わかります。それは僕らの場合タレントですね。「これぐらい詰めても、オードリーの若林君ならなんとかしてくれるだろう」とか、「構成がゆるいけど、今の千鳥のノブ君ならなんとかするだろう」という。それに近いですね。

澤本:審査していても、多分監督に任せてるんだろうなというものが多くなっている。

佐久間:それは先ほどおっしゃっていた、CMプランナーの役割が変わってきているということですね。監督の専門性に立ち入らず、代わりに監督をチョイスするプロデューサーとしての側面が大きくなっていると。

澤本:もしかしたら、若い人たちから「違う」と怒られるかもしれないけど。スタッフリストに名前が載る時も、その位置についてあまり考えていない人が多いと思うんです。絶対にCMプランナーとして載りたい、とか、少ない気が。クリエイティブディレクターとして載っていても、他でもいいというか。クリエイターという名刺がほしい、というんですかね、セリフまで管理しなくても「僕これ関与した」と言えればいい、と思っていそうな人が多いなという感覚があります。自分がどれだけ手を動かしてつくったかという、関与度の高さに満足感を得る人ばかりだと思っていたけど。

佐久間:それはもしかしたら、CM・テレビには増えているような気がします。だって、自分でやりたい人は10代のうちから始められる時代になっているから。とくに我々テレビの世界の人たちの中にDIY精神で全部制作していくような人は減ってきていると感じるんです。

澤本:それはすごく思います。僕も映像については社会人デビューで、会社に入って初めて動画をつくるようになった。でも高校や中学で自分でやっていれば、社会人になってやる必要ないですもんね。

佐久間:そういう時代に突入してるなと思いますね。音楽の世界もそうなっているんじゃないですか。米津玄師さんとか自分で完パケまでやって、ニコ動からデビューしているわけで。

澤本:米津さん、アニメも描いていましたね。

佐久間:そう、そういう人たちが全部かっさらっていく時代になっていくのかもしれませんね。

澤本:ということは、門戸を広げる・広げないは関係なしに、誰がどこに発注するかで。Bカテにはそういったものがどんどん流入してくる可能性がとても高いですね。

佐久間:あると思いますね。例えばどこかの地方自治体のWeb CMを、そこの超マニアックな職員がつくってグランプリを獲るような時代になったと思います。

澤本:あり得ますね。自治体にもそういう人が、一人や二人はいるだろうし。

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