コラム

アスリートとつくる、熱量の高いファンのコミュニティ

あえて実現の難しい場所に非日常空間を作る、レッドブルの大会に注目してしまう理由

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リアルな体験の後のストーリーづくりも重要

繰り返しになるが、コアなスポーツカテゴリーにおいては、競技の面白さやすごさだけでシーンを盛り上げるのは難しく、競技を知らない人がその場所まで足を運んで見にきてくれるようになるには本当に時間やコストもかかり苦労する。F1という世界最高峰のモータースポーツであっても同様である。

だからこそ、まずは話題作りの観点からも、あえて実現のハードルが高い場所に、非日常的な空間を作り上げることによって人々の興味をこちらに向かせるのは有効だ。そして最終的にその場まで足を運び競技を観戦してもらうことで、自然とファンになってもらえるケースは多い。

ただ、リアルに観戦できる人数には限りがあるので、そのあとの効果をどう作るかも大事である。アスリート自ら発信してもらうこと、多くのメディアにとって記事が最大化できる場を作ること、コンテンツを販売できるクオリティを目指しライセンス化すること、自社コンテンツとしてどう展開できるか考えることなど、とにかく事前にどれだけ準備し実現まで持ち込めるかが大事である。

イベントはいいのだが、単発的な出来事で終わってしまったら元も子もない。その前後にどれだけインパクトを作れるか、360度のアクティベーションが作れるか、その出来事を息の長い活動に繋げられるか、そして全体を通して開催地と連動したストーリー作りを考えていくことが大事である。

さて、そんなことを繰り返していたら、今でも出かけるたびにこの場所はどう使えるか、そうなることでどんな場面が作れるかといった観点で物事を見てしまう傾向がある。

特に最近渋谷での公共空間におけるプロジェクトをやっている身としては、都内のど真ん中の公道でF1デモ走行が実現するには、気が遠くなるほどのプロセスと交渉が必要であることを改めて実感する。これを実現することができた関係者に本当に敬意を払うと同時に、もっともっとこのような公共的空間を活用して文化が体験・発信できるプロジェクトが実現できればいいと心から思っている。

特に多くの人が集まる都内各所には多くの期待が寄せられていると思うが、一時的でも場を解放し多くの人が参加できるようなプラットフォームになれば、日本におけるスポーツ文化が身近になり次のステージにいくのではと思っている。なぜなら百聞は一件に如かずであるから。

長田新子
一般社団法人渋谷未来デザイン 事務局次長兼プロジェクトデザイナー

AT&T、ノキアにて、情報通信及び企業システム・サービスの営業、マーケティング及び広報責任者を経て、2007年にレッドブル・ジャパン入社。最初の3年間をコミュニケーション統括、2010年から7年半をマーケティング本部長として、日本におけるエナジードリンクのカテゴリー確立及びレッドブルブランドと製品を日本市場で浸透させるべく従事し、その後独立。現在は2018年4月に設立された一般社団法人渋谷未来デザインの事務局次長兼プロジェクトデザイナー。

 

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