コラム

サステナブルな関係をつくる「コミュニティ的」オウンドメディア

「もったいない」から生まれたKIRIN公式note

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内側に「個人的な熱源」があるか?

冒頭から個人的な話になりますが、私は3年前にキリンに転職しました。入社時はデジタルマーケティング部に配属され、既存ECサイトの「読み物」を担当していました。

当時並んでいたコンテンツは当社商品の「楽しみ方」がほとんど。

どのお酒にどんな料理が合うのか、シーズンに合わせて切り口を変えてお届けすることを目的に置いたコンテンツ展開でした。

コンテンツ企画時には当然ながら、商品を造った人にヒアリングする機会を設けます。取材とまでいかなくても、なぜその商品をつくろうと思ったのか、その商品におけるこだわりは何か?どこがうまくいったと思いますか?などなど。「どんな風に楽しんでほしいか?」を伝えるのに必要なヒアリングを行うことになります。

なかば「転校生」の立場の私は、その話の一つひとつがとても面白かったんです。何より、従業員が語る商品に対する愛情や思い入れに感動しっぱなしでした。入社するまでイメージしていた「大企業」の人のイメージがガラッと変わる体験でした。

そして同時にこの話を「外に出さないのはもったいない」と思いました。従業員のやってきたことを丁寧に拾い集めて伝えることができれば、「特定の共感しうるお客さま」はもちろん、「社内で情報が入ってこない従業員」や「これからキリンで働きたいと思っている人」にとっても必要なコンテンツとして受け止めてもらえるのではないか?と思ったんです。

「外」にも「内」にも役割を持たせることができるメディア。それがKIRIN公式noteのスタートの構想であり、今でもメディアの「幹」となっています。

従業員が語る商品への愛情や思い。これを「外に出さないのはもったいない」という平山氏思いから、2019年4月にKIRIN公式noteはスタートした。

オウンドメディアやSNSの立ち上げを構想する際、「どんなターゲット」に「どれだけのコンテンツ量を投下」して「どれだけの人に見てもらうか」を設定すると思います。

ただ、コンテンツのネタが自社内に閉じるオウンドメディアの場合、外側に向けた戦略を立てる前に、まずは内側に目を向けて「継続的に出し続けられるネタがあるか」「発信したい熱源はしっかりあるか」を確認することです。この構想時の視点の持ち方が「つづくメディア」になるための大きな分水嶺です。

さらにはコンテンツに対する効果の期待についても重要な観点です。インターネット上に出すコンテンツを考える時、どうしても「フロー型」のコンテンツとして見てしまいがちです。どうせ「流されてしまう」ものだから、「点」の接点を最大化させよう、つまりはバズらせよう、という発想になってしまうきらいがあるのではないでしょうか。

しかしながら本来的にはインターネット上のコンテンツは、いつでも、誰からもアクセスできるものです。そう考えれば「息長く」「広く」活用できるメディアと捉えることもできるわけです。

KIRIN公式noteでいえば「従業員の熱量を残す」ことを企画のベースに、「取材された方が自身の『代名詞』と呼べるか」をコンテンツ評価のベースに置いています。大袈裟に言えば、従業員数分のネタがあると捉えることができますし、自身のコンテンツを近い人に「自慢したい」と思えるコンテンツであれば、少しずつ読者の輪を広げていくことができます。

インターネットだからこその利点を見た上で「長期的な視点」でメディアを捉えることが必要だと思います。

次ページ 「ソーシャル・パーソナルに立脚したオウンドメディアの勃興」へ続く

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