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重要なのは、なにを“指標”とするか 目的やフォーマットに応じた効果測定を

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月刊『宣伝会議』2022年7月号(6月1日発売)では「デジタル広告品質とコンテキストターゲティング」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

グライダーアソシエイツ
取締役
岩崎 奨 氏

2010年マクロミルに新卒入社。新規事業の営業から、広報・IR・経営戦略室を経て社長秘書へ。当時の代表がantenna*事業を構想、グライダーアソシエイツを設立し2015年に転籍。マスおよびデジタル広告、広告営業を経て現在は取締役として営業局を管轄。

 

Q.「デジタル広告の品質」にかかわる領域で、もっとも注目している課題とは?

A.新しいフォーマットに対応した、適切な指標の開発が必要。

インリード広告を中心に、スマホ画面に適したリッチフォーマットや、インタラクティブなフォーマットが増えてきているように感じますが、従来からあるフォーマットと同じ指標で比較されることで、リッチフォーマットの特性が正しく評価されていないことに課題を感じています。CPMやCPCなどの単価の勝負ではなく、広告接触時間やアクション数などのエンゲージメント指標を開発し、リッチフォーマットならではの価値を評価する指標づくりが求められているのではないでしょうか。

Q.デジタル広告品質に対して広告主企業に意識の変化は見られますか?

A.“ブランド好感度”の向上など、広告本来の目的を追求する企業が増加。

ブランドセーフティに注意して取り組む広告主が増えたように感じます。DSPやアドネットワークでは、ブロックリストの除外対応を必須とするなど、広告主ごとに独自の基準を整備する動きをよく目にしますが、私たちのクライアントは、さらに踏み込んでブランドセーフティを徹底しています。

広告主のニーズで多いのは、セーフリスト対応で配信されるメディアの精査。また結果として、どのメディアにどの程度配信されたのか、メディアごとのパフォーマンスを把握することでブランドとメディアの親和性の把握を期待をして、出稿いただくことが多いです。また案件によっては広告管理画面の数値と、クライアントのアナリティクスツールで計測するトラフィックの乖離率を細かく分析し、配信の途中で面をメンテナンスしながら乖離率の改善を行うこともあります。

ブランドセーフティへの考えが、従来のマイナスリスクをいかに最小限にできるかから、読者に対してブランド好感度を上げられるか、という広告本来の目的をいかに最大化できるかという視点に変わってきているように感じます。

Q.広告「効果」と投資に対する「効率」のバランスをいかに考えるとよいのでしょうか?

A.広告の「目的」に対して適切な「指標」で効果を考える必要がある。

広告の「目的」に対して、その効果を評価する「指標」が適切でないと感じることがあります。

ボトムファネルでの広告では、顧客獲得が目的なのでCPAやCPOで評価することは当然正しいですが、アッパーからミドルファネルにおいては多くの広告がリーチ単価・視聴完了単価・CPCのいずれかで評価されており、認知度向上を目的にしていれば良いのですが、興味喚起や好意度アップを目的にしている場合にも同じ指標で評価するのは適切でないと考えます。

例えば、強制視聴の動画フォーマットで出稿する場合、短くてブランド名を連呼するようなインパクトのある広告では認知を獲得できても、好意度を下げる可能性があります。

現在では多くの媒体社がブランドリフト調査(BLS)をオプションとして提供し、態度変容効果を計測することも増えていますが、そのほとんどが媒体社が独自に実施しているため相対比較ができないものになっています。広告目的に合わせて適切な媒体を選定または評価していくために、大きなキャンペーンでは媒体を横断したBLSが増えていくと予測しています。