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コラム

高広伯彦の“メディアと広告”概論

ソーシャルメディアの時代なので、クチコミマーケティングを再考しよう:2

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「ソーシャルメディアの時代なので、クチコミマーケティングを再考しよう:1」はこちら

「クチコミの企み」は大きく2種類ある

クチコミを企むというのが、すなわちマーケティングコミュニケーションの企画出しであると考えるのは早計。まずやらなければならないのは、商品/サービスそのものがクチコミされる要素を持っているかどうかを発見すること、である。ないしは、商品/サービスが市場に出る前の開発段階にあるのであれば、そうした要素を仕込めるかどうか。いわば「商品/サービスそのものによるクチコミの企み」とでも言えるものだ。今回この第一のクチコミの企みについて話をしよう。

広告やプロモーションによって「クチコミ」が拡がっていくのではなく、商品/サービスの使い手が意図的であれ非意図的であれ、他人に使わせることを結果として推奨していくようなことが起き、「クチコミ」として機能することがある。何も広告もプロモーションもやっていないのに、「商品がクチコミで広がった」というものの場合、商品/サービスそのものが「クチコミ能力」を持っていると考えられる。

商品/サービス自体がもつ「クチコミ能力」は2種類考えられ、1)商品/サービスそのものが人目に触れさせやすい、2)他人を巻き込むと利便性が増す、という要素がある。

1)の場合は、すでに商品/サービスの利用者となっている人が、それを友人など“会話が発生する関係”の中で取り上げる場合である。女性向けの小物などではこの傾向が強いだろう。また、このケースでは「バンドワゴン効果」が発生しやすい。簡単にいえば「流行になっている(と思われてる)ものは、それに乗り遅れまいとする人を集めますます流行(はや)る」というような効果だ。この場合の「クチコミの企み」は、商品/サービスのデザインそのものの「ビジビリティ(目立ち度)」をあげるための商品デザイン・利用法が肝となる。

2)の場合は、通称「ネットワーク外部性を持つ」ような商品/サービスがそれに当たる。「ネットワーク外部性 network externality 」とは、電話やFAXのように、利用者が増えれば増えるほど、商品/サービスのユーザーたちの利益が増していくようなものを指す、ネットワーク経済と呼ばれるものの重要なキーワードであり、「数が少ない」であることが価値を持つという稀少性の経済とは正反対の考え方となっている。例えば『ポケットモンスター』はひとりでも遊べるゲームである。しかしながら、友達二人以上で遊べば、モンスターを戦わせてそれぞれのモンスターを成長させることができる。つまり「二人以上の人間」を「巻き込む」ことによってもっと楽しむことができるのだ(『モンスターハンター』も同様)。(次ページに続く)