というわけで今年、2015年はVOD本格化元年!となりそうな気配です。なんだかハラハラしそうですが、こうしてVODが盛んになるのはいろんな意味でいいことだと思います。
放送にVODも加わることは、個別のコンテンツの価値が問われることです。中身が勝負になれば、作り手の価値が高まるのではないでしょうか。テレビ局の中でますます制作の人材価値や、質の高い制作のための体制づくりやワークフローが整えられるなら素晴らしい。そして外部の制作会社や脚本家、出演者などの価値も高まり、すそ野も広がる可能性があります。
いま、リアルタイムでの視聴率だけが指標となり、一方で若者がテレビを見なくなっている。そんな中、いやな表現をしてしまいますが「テレビのおばさん化」が起こっていると私は感じています。朝から晩まで、メインの視聴者はF2F3、つまり35歳以上の女性です。昼間の番組だけでなく、最近はゴールデンやプライムの視聴率も、場合によっては深夜帯の視聴率も、F2F3に左右されます。おのずから、番組内容もその層に向かざるをえない。
たまにテレビをつけても、題材が健康や温泉や買い物だらけでは、若者のテレビ離れはいよいよ加速してしまいます。これはリアルタイムで放送を見る人だけを相手にするから、必然的に起こることなのです。こんなことをやっていたら、若者たちが大人になる五年後十年後には、テレビの前にほんとうに誰もいなくなりかねない。
VODが盛んになれば、がぜん状況が変わるはずです。視聴率はF2F3中心に5%だったけど、VODでは若者に大人気で収益もそっちのほうが大きいなあ。そんなことになったら、番組が面白くなりそうです。そんなの机上の空論だよ?いえいえ、これは『水曜どうでしょう』で実際に起こっていることです。北海道テレビ制作のこの番組は、オンエア時の広告収入より配信での収益のほうがずっと大きく、ファンの数も多いのだそうです。だからいまだに新作が待たれている。
VODが本格的な市場になることは、テレビが新たな息吹を得る最大の機会かもしれない。これに対して後ろ向きな態度をとることは、あとあとマイナスに響くと思いますが、みなさんはどう思いますか?
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