林潤一郎(オレンジ・アンド・パートナーズ/2005年宣伝会議コピーライター養成講座総合コース、2006年同上級コース、同専門コース〔山本高史クラス〕修了)
仕事が終わらず、楽しみにしていた飲み会をドタキャンした夜。「未練は斬って捨てました・・・」と、山本周五郎の短編小説『雨あがる』のラストシーンのセリフをつぶやく。そして物憂げな顏でオフィスの電気を消し、最終列車で家路につく自分の姿に一種の心地よさすら感じているようなダメ人間ですが、こうしてコラムを書く機会をいただきあらためて考えたことがあります。
人に何かを伝えるのは大変だなぁということ。超当たり前ですけど。自分が伝えたいと思っていることと、相手の聞きたいと思っていることって、大抵、違うものなんですね。気心知れた友人との会話でも、思った以上に盛り上がらなかったり、あるいは不快にさせてしまうこと、ありますよね。その直前にあった出来事、場の雰囲気、声の大小など、コミュニケーションを形成する要素が複雑に絡みあっていく中で、思い通りに伝えるのは大変です。ましてやメディアの中の顏も見えない相手から投げつけられる広告なんて、どれだけ難儀なことか。思わずいま書いている企画書をチェックしてしまいました。残念ですね。プランナーとしてほんと未熟だなと反省しながらこの後も書き続けます。


