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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

(極私的)広告セレンディピティ(3)

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貝洲岳洋(電通 コーポレート・コミュニケーション局/宣伝会議コピーライター養成講座2009年春・基礎コース修了)

S・O・L(サトナオ・オープン・ラボ)

「手紙アタック」(※前回のコラム参照)を経て、晴れて佐藤尚之さんの下で働くことになった僕は、佐藤さんの主宰する社内横断ヴァーチャル組織「サトナオ・オープン・ラボ(現電通モダン・コミュニケーション・ラボ、以降ラボと省略)」の末席に加えて頂くことになりました。ラボは次世代コミュニケーションの研究・開発を目的とし、主な活動として、課題図書についてのディスカッションやメディア研究など、設定したテーマに沿ったミーティングを定期的に行っています。メンバーは営業やクリエーティブ、プランニング、メディアなど様々なセクションの社員によって構成されています。

SIPS

ラボの研究成果の一つとして、新しい生活者消費行動モデル概念『SIPS』の開発が挙げられます。『SIPS』とは、ソーシャルメディアが主流となる時代の生活者消費行動を、「共感する:Sympathize→確認する:Identify→参加する:Participate→共有・拡散する:Share&Spread」と整理し、その考え方を略したものです(詳細・解説はこちらをご参照ください)。

「インターネットメディア総合研究所」が実施した利用実態調査によると、2012年5月時点での日本のソーシャルメディア人口の推計値はなんと5060万人にのぼるそうです。『SIPS』の発表自体は1年以上前ですが、この数字を見ると「来るべきソーシャルメディア時代」が、今まさに訪れつつあることを実感します。

SIPS図

CSV

先ほどご説明したように『SIPS』は、S=Sympathize(共感する)から始まります。そのベースとなる「発信元への共感」を企業が獲得するために、今後『CSV(Creating Shared Value:共有価値創造)』という考え方が重要になってくると僕は感じています。『CSV』とは、米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱したコンセプトで、「企業は社会課題の解決と企業の利益・競争力向上を両立させ、社会と企業の両方に価値を生み出すよう取り組むべき」という主張です。

今年のカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルにおいて「プロモ&アクティベーション」と「ダイレクト」の2部門でグランプリを獲得した、American Expressの「Small Business Gets an Official Day」というキャンペーンがあります。折からの不況、大型店との競争に苦しむアメリカ各地域の小売店を支援するために毎週土曜日を「Small Business Saturday」と設定し、その普及・浸透のために宣伝ツールやクーポン、ソーシャルメディアなどを活用した草の根活動を実践したというものです。さらにこのキャンペーンはニューヨーク市長や州知事、最終的にはオバマ大統領が支持したことでも話題になりました。まさに生活者・社会・企業それぞれに対して価値を生み出したキャンペーンと言えるでしょう。

僕は今後このような「CSV発想」を、ラボの活動を通じてより深く考察し、実際の業務に積極的に採り入れていきたいと思っています。

今まで3回に渡って書いてきたこのコラムも、次回いよいよ最終回を迎えます!あと1回、どうぞよろしくお願いします。

kaisu
貝洲岳洋(かいすたけひろ)
電通 コーポレート・コミュニケーション局。1979年東京都生まれ。成蹊大学文学部文化学科卒業。創芸(現DGコミュニケーションズ)、アイ・アンド・キュー アドバタイジングを経て電通に入社。次世代コミュニケーションの研究・開発を目的とする社内横断ヴァーチャル組織「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」に参加。

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