コラム

New York、酒と泪と男とアートディレクション

グラミー賞受賞 R&B シンガー・ブランディのアートディレクション担当に抜擢

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歌の力をビジュアルで伝える、それが自分にできること

ホイットニー・ヒューストン主演の映画『Waiting to Exhale』に収録されていた『Sittin’ Up In My Room』を耳にした瞬間、あまりにかっこよくて飛び上がった。

そんな彼女がある日ソニーと契約をし、私が担当することになった。決まった時の嬉しさったらその辺のアイドルオタとたいして変わらない興奮具合だったはず。

でもプロのアートディレクターとして、この思いを伝えるべきかどうか、なんて悩みながら最初のミーティングの為に一生懸命撮影のルックブックを作り、着々と準備を進めていった。

ここでちょっと話はそれるけど、私が高校生の頃、ネットなんてなかったから今みたいにYoutubeなんかで音楽を手軽に聴ける機会はまずなかった。

いい音楽を聴きたければ、いいDJがまわしているクラブに行って、そこで最新の音楽をチェックし、好きな音楽がかかったらDJブースをのぞきこんでレコードのレーベルからアーティストの名前や曲名を盗み見して覚えるのだ。

とはいえ、私が育った高知には2軒しかクラブがなかったので、常にどっちかに入り浸り状態だった。そこで出会った、私の音楽のルーツになったのは90年代のHip Hop / R&B。TLCや、Salt ‘N’ Pepa, En Vogue、Mary J Blige、そしてブランディ。デスチャやビヨンセのちょっと前の世代だ。

そんな青春時代を90’s Hip Hop / R&Bに捧げた私にとって、ブランディとの仕事は、とーーーっても意味のあるプロジェクトになった。

ブランディの復帰アルバム『HUMAN』は、今の彼女だから歌える曲が沢山つまっている。

初打ち合わせはロスの彼女の家だったのだけれど、気持ちを抑えきれない私は正直に、いかに私が彼女の曲のファンであり、今回の仕事がどんなに嬉しいかを素直に伝えた。伝えることを悩んだことも素直に伝えた。

それを聞いたブランディは「本当に嬉しい!」と大喜びしてくれてハグをしてくれた。その時だけ仕事を忘れていちファンに戻ってしまったけれど、そのおかげでその後の彼女との仕事はスムーズに行った気がする。

学生時代に田舎で毎日聴いていた海外のアーティストが仕事中に私の名前を呼んでくれるなんてーーーと撮影中も舞い上がりそうになったけど、それは押さえてちゃんと仕事をすすめました。はい。

アーティストの性格にもよるけれど、やっぱり素直が一番だなーと思いました。クールにキメれる人はいいけど、私はクール系ではないのでそれ以降は素直に接しています。だから特にファンではないアーティストの時は逆にクールになります(笑)。

15歳でデビューをし、一躍スターの座に上り詰め、恋愛や出産を経験し大人になったブランディの復帰アルバム『HUMAN』は、今の彼女だから歌える曲が沢山つまっています。そしてシングルカットされた『Right Here (Departed)』は聴く度に涙が出ます。

『生き急いだ時も、涙がかれてしまった時も、世界が沈黙してしまっても、私はあなたの為にここにいる、あなたが息が出来なくなっても私が代わりに呼吸をしてあげるから』と歌っています。色々な経験をしたブランディに、励まされてる気がして元気が出るし、彼女の声に力をもらえます。

アーティストの歌の力で元気をもらっている人が沢山いる。そして私はそのお手伝いをさせてもらえてると思うと、どんなに大変な仕ことでもやっていて良かったと思えるのです。私は歌は歌えないし、歌詞もかけないけれど、私ができることは、アーティストの思いのつまった歌を、写真に、アートにすること。今後もこういう風に音楽に関わっていくぞー!と自分をふるいたたせた所で今回のコラムはおしまい☆また次回宜しくお願いします!

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