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コラム

いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾

デザインの力で加速させる、名古屋密着ブランドの魅力

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1つ目は、青柳総本家。名古屋といえば「ういろう」というイメージを定着させた老舗企業です。

2008年に初めて同社からお仕事をいただいたときは、名古屋で活動するデザイナーとして本当にうれしかったのを覚えています(ちなみに同社の仕事をするようになったきっかけは「紹介」でした。新規の仕事のほとんどは「紹介」です。これも名古屋的だなと思います)。

実は小さい頃から「ういろう」が大好き。昔、流れていたCMソングも完璧に歌えます。

地元企業とお話しするときに、こういう「その企業を昔から知っている」「その商品について、自分なりの体験を持っている」といった感覚は大事だと思っています。なぜなら、その企業・商品のことを知っている/知らない、好き/嫌い、ポジション、印象などを自分なりに感じ続けているからこそ見えてくる問題点もあると感じるからです。

これまでに、商品のパッケージや紙袋など、同社の仕事を10件ほど手がけてきましたが、なかでも特に思い入れがあるのは「冷やしういろう」のパッケージデザインです。

ういろうは、棒状のものが主流ですが、切るのがイヤ、重い、さらに夏に売上が落ち込むという問題がありました。

一方、「冷やしういろう」は茶巾しぼりの一口サイズで食べやすい、これまでのういろうのイメージを覆す商品です。通常のういろうは冷やすと固くなりますが、これは逆に冷やして食べるということが新しい。その特徴を強調するためにパッケージは青系の色で統一、てぬぐいのような涼しげな和柄をモチーフにデザインしました。

売上は、発売した2011年だけでなく、それ以降も毎年伸びています。販売直前に東日本大震災が起きて、旅行を自粛するムードがあり、そんな厳しい条件下でも結果が出て本当にうれしかったし、安心しました。

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青柳総本家「冷やしういろう」

メーカーとのお仕事の際には、機会があれば工場にも見学に行きます。工場から感じる印象で良い部分があれば、それもデザインで引き出したいと考えているからです。

同社の場合、工場見学をした印象は、もちろん機械で効率化している部分もあるけれど、手作りの作業もたくさんあるなということ。メーカーというより、“大きい和菓子店”のイメージです。

僕は、パッケージの提案をするときは、シズル感だけを追求するのではなく、そこに企業のイメージを織り込むことを意識しながら制作します。

また、長く使われることを想定し、あまり流行を追いすぎず、でもオーソドックスになり過ぎないよう、バランスに配慮しています。

また、一つの商品を点としてとらえるのではなく、線でつなげたときに、全体で青柳総本家の商品というまとまりになるよう考えています。なぜなら広告をそれほど多く出稿しない地元企業にとっては「ブランドイメージ=商品」、つまり商品そのものがブランドイメージをつくりあげる上で最も重要な役割を果たすと考えているからです。

次ページ 「次の世代にも愛されるブランドづくりのお手伝い」に続く