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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「なぜ、我々は海賊の旗を掲げるのか」——TBWA\HAKUHODO 座間一郎社長に聞く

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統率された「海軍」より縦横無尽な「海賊」でありたい

そしてTBWAは「The most creative company」(最もクリエイティブな会社)を旗印に掲げることになりました。「カンパニー」であって、「エージェンシー」でないところにポイントがあります。

一方で我々は、そのまま使うのではなく、「The most innovative company」(最もイノベーティブな会社)を目指そうと決めました。その結果として、広告賞を獲ることも重視しましたが、それ以上にイノベーティブな企業や団体を取り上げるアメリカの雑誌「ファストカンパニー(Fast Company)」にランキングされるような会社を目指そうと共有しました。TBWAには「ディスラプション(Disruption=創造的破壊)」という思想であり、かつそれを実行するツールがありますが、イノベーティブな会社を目指すにあたり、それを最大限に活用しようと決めたのです。

その際にベンチマークしたのが、世界のTBWAネットワークの中でも、斬新なクリエイティブで評価の高いロサンゼルスのTBWA\CHIAT\DAY(TBWAシャイアット・デイ)でした。リー・クロウ(※2)がいるオフィスです。彼らは自らを「パイレーツ(海賊)」だとし、海賊の旗を掲げていました。

米国ロサンゼルスにあるTBWA\CHIAT\DAY

私はかつてTBWA\CHIAT\DAYに出向していたとき、リー・クロウになぜ海賊なのかを聞いたことがあります。すると、「海軍は圧倒的な人数と兵力を抱え、メソッドも明確で統率され、どんな時にどう動くかがすべて決まっている。とても訓練された集団だ。でも、それでは面白くないだろ?」と言うのです。

一方で、海賊船は乗組員一人一人に個性があり身軽で縦横無尽に移動することができ、思いもよらないところから攻め込んだりすることができる。だから、世の中を面白くすることができる、と話していました。この話を思い出し、この会社にも海賊の旗を掲げることにしたのです。


*2:リー・クロウ(Lee Clow)
TBWAワールドワイドのメディアアーツラボ会長兼グローバルディレクター。アップルの“1984”や“Think Different”など数多くの広告・キャンペーンを生み出したクリエイティブディレクターとしても知られる。ロサンゼルスのTBWA\CHIAT\DAYを拠点にしている。

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