制限・制約の中で、新しい技術の当たり前をもう一度見直す
国内でも大型の事例が東京を中心に実施され始めた頃、提案営業をスタートします。
提案を持ち込んだのは、以前からお仕事をいただいており、ロビーの展示空間を何らかの形で生かしたいとお話を伺っていた、名古屋の老舗ホテル、ウェスティンナゴヤキャッスル。プロジェクションマッピングという試み自体、ホテルでの実施案件がまだ少なかったことと、新しい表現・企画に興味を持っていただけたことで、「課題をクリアできるのであればぜひ実施したい」とのお言葉をいただきました。
課題は「予算(規模)」「費用対効果」「照度」の大きく3つ。制約があるなかでも新しい体験を提供できればということで、クライアント・制作者ともに強い想いを持って、プロジェクトをスタートしました。
そして試行錯誤を重ね、課題をクリアし辿り着いたのが、①明るくてもプロジェクションマッピングされた像を見ることができ、②単発イベントではなくノンオペレーターで長期運用が可能で、③規模感にスケーラビリティを持たせられるプロジェクションマッピング。それは今までの大規模なプロジェクションマッピングとは違い、施設の設備として成り立つ、常設型のプロジェクションマッピングでした。
表現の部分では、若い世代にも伝統や文化を楽しんで欲しいとの思いを込めて「伝統と革新」というコンセプトを立てました。老舗ホテルの空間の中でプロジェクションマッピングを実施するということと、伝統的な障壁画である竹林豹虎図に現代アートを思わせる表現を施すことで、コンセプトを体現しています。
「竹林豹虎図」のプロジェクションマッピング。ウェスティンナゴヤキャッスルのロビーで1日5回実施。オペレーター不要の全自動で運用し、多くのお客様の関心を集め、来館の目的としても作用。
平面への映像投射であるため、これを「厳密にはプロジェクションマッピングとは言えない」という方もいるかもしれませんが、様々な課題をクリアすることで最適化されたこの仕組みは、東海圏内で多くのプロジェクトを任せていただくきっかけとなり、およそ数千万といった規模で予算をかけ、建物や巨大立体物を利用した、世間を賑わせている大規模プロジェクションマッピングとは少し違う、小規模でもプロジェクションマッピングを実施してみたい・提供したいというニーズを叶えるものとなりました。
実施場所の選定幅や予算感を地域に合わせて最適化したことで、地方で幅広く受け入れていただけるプロジェクションマッピングの基本形を作り出すことができたと思っています。
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