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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「価値観を共有し、会社を大切にする気持ちが、顧客の深い理解にもつながる」——メンバーズ 剣持社長に聞く

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社会貢献を経済利益とつなげつつ、さらなる成長を目指していく

——最近の社会や消費者の動向で注視していることはありますか?

たくさんありますが、中でも「未来に対する問題」への関心が高いですね。最近の例で言えば、貯蓄ゼロの家庭が増えていることや、若者の貧困率が非常に高まっていることでしょうか。これらは政治の問題だけではなく、経済界にいる我々としてやらなければいけないことがあると思います。

こうしたことに対して我々がミッションとして掲げているのは、「CSV(Creating Shared Value)」という社会貢献と企業利益を同時に実現する経営手法をもっと広げていく、というものです。マーケティングが人の心を動かすものであるなら、我々も人の心を動かして、社会貢献という軸で購買を決定するような社会をつくろう、と考えています。そのためにも、まず「CSVを基軸としたマーケティングキャンペーンの方が成功する」という事例を我々がたくさんつくることで、世の中を少しずつ動かせるのではないかと思っています。

——ただ、日本ではCSVの事例が少ないですよね。当社の雑誌でも取材してきましたが、本当にそれで売れるかどうかが見えづらいから、目標数字を持っている現場としては企画を上げづらいし、採用側も採用しにくいという声が多いのも事実です。

確かに現段階では国内事例はあまりありません。調査会社の結果でも、まだまだ日本の消費者はCSR軸で商品を買おうという意識が低いと出ていました。でも、東南アジアに目を移すと非常にその数値が高い。そして、我々のお客様も積極的にアジア進出を行っている企業が増えてきました。そこで現在は、国内だけでなくアジアなど国外のものも含めてCSV要素があるマーケティング事例を集めています。

今はまだまだ事例が少ないですが、先を見据えれば「CSVだから売れる」のではなくて「CSVでなければ売れない」という方向になると予想しています。そうしたことに先駆けて取り組むことで、多くの企業のマーケティング活動をサポートしていきたいと思います。

<取材を終えて>

「なによりもまず、会社の示す価値観への共感が大切」と語った剣持社長。今後、企業のマーケティング・プロモーション活動においてはCSVの要素が欠かせなくなると話している通り、社会貢献と経済価値を両立させるには、社会が何を求めているのかを敏感に察知して、それに合わせていく力が求められる。会社として「周囲の仲間との協力・共感」を求めていることが、今後注力していくCSV分野のビジネスをよりスムーズに進める布石にもなっていると感じた。

 

剣持 忠
メンバーズ 代表取締役社長

1965年生まれ。1990年早稲田大学卒業後、日本合同ファイナンス(現・ジャフコ)入社。投資第一部にて国内ベンチャー企業の投資育成に従事。5年間で10社のベンチャー企業に投資し、4社の株式上場を支援。1995年6月メンバーズ設立、代表取締役社長に就任。2006年11月、名古屋証券取引所セントレックス市場上場。2010年4月、社団法人東京ニュービジネス協議会理事就任。