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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

志伯健太郎×古田秘馬×戸田宏一郎「新規事業開発に街づくり、上流からアウトプットまで全部手掛ける人のやり方って?」

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キーワード① 「地方創生」

戸田:自己紹介が終わったところで、次に行きましょうか。今日は僕たちが今気になっているキーワードを12個挙げてきました。どれを選びますか?

古田:では「地方創生」で。今キリンビールさんと「復興応援 キリン絆プロジェクト」を進めています。東北の生産者と消費者をキリンビールさんがつないでいこうと始まった企画です。東北で農業経営者のリーダーを育て、一方で東京で復興プロデューサーを育てるという2つの柱があります。地方創生で大事なことは、雇用を生むことではないんです。雇用をつくれる経営者をつくることです。このプロジェクトでは、東北の農業経営者の皆さんとオランダの最新の農業を視察に行くツアーを組むなど、地方創生の核となる人づくりに注力しています。ポイントは一切の行政補助金を入れていないことで、キリンビールさんのCSV(価値共創活動)という形で実現しています。単純なCSR(企業の社会的責任)ではなく、しっかりしたCSVのプラットフォームをつくることで、プロジェクトが自走するし、企業同士も連携できる。プロジェクトを通じて、企業が地域社会と一緒にどんなビジョンを描けるかが重要だと思います。

戸田:このプロジェクトの場合、キリンビールさんにとっての成果は何になるんですか。

古田:具体的なところでは、今回のプロジェクトに参加している遠野のパドロンというスペインししとうを作っている生産者の農産物を皆でブランディングしたことで、枝豆のオーダーを超えるビールのつまみとしてキリンシティ全店舗で驚異的な売り上げをあげました。元々は東北復興というところから始まったプロジェクトですから、東北で活躍する人がどんどん生まれること自体も成果です。われわれは「PR」ではなく「SR」(ソーシャル・レピュテーション=社会的評価)という言い方をしますが、2013年にキリンビールさんは被災地支援の社会貢献のイメージランキングで1位になりました。こうしたイメージは、人材確保にもつながります。社会貢献やCSVをどんなKPI(評価指標)で出すのがふさわしいか、今アメリカでも盛んに研究されています。

志伯:企業の予算の使い方が変わってきているんですね。

古田:広告という枠にお金を出すのではないやり方でどう伝えていくか、を企業は考えているんじゃないでしょうか。今「地方創生」で色めきたっている行政の方も多いですが、世界遺産、ゆるキャラ、B級グルメ…といった既存アイデアを横展開するだけでは続かない。なぜそれを自分たちがやるのか?伝えたいことは何か?という視点で発想することが大事だと思います。

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