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コラム

「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」

ヴィレヴァン「逆理」の仕入れ術~無理でしょ、いや無理じゃない

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販売員はプロではなく、永遠の初心者であれ

文芸本は興味あるけどほとんど読まないスタッフに、コミックはマニアックなやつにも手を出したいと思ってはいるけどそこまでどっぷりつかっていないスタッフに、などなど、どんどん担当を割り当てた。なぜ、あえて、そんな知識があるようなないようなスタッフたちに品揃えを担当させていたかというと理由がある。

それは、私がターゲットとして想定していたお客様のイメージに彼らがより近かったからだ。販売の素人は過去の経験則がない分、お客様の反応をじっくり見て、リアルな感覚を頼りに売場を作っていく。啓蒙主義的な上から目線で押しつけがましい提案をしていくのではなく、お客さまに友達感覚のようなスタンスで半歩先の商品提案をすることができる。

私は、店員が一消費者の感覚を持って、お客様と一緒に楽しむことで本当のニーズに沿うことができるはずだと考えた。それを実現できれば、まるでお客様が自分で品揃えしているかのような売場が作られ、それが有機的につながったとき、最高にリアルでお客様の写し鏡のような店ができ上がる。

目指すべきバイヤーとは、業界のルールを熟知している人間とかではなく、常識という名のバイアスを持たずに、常にお客様から学ぶ姿勢を持ちつづけられる店員ではないかと思う。担当を振り分けられたスタッフたちは、ピュアな目線でより良いと思う方法を、トライ&エラーを繰り返しながら日々探り続ける。でき上がったものが、常識人から見るとかっこ悪いものであったり、奇抜なものであったりしても構わない。逆にそのくらいの方が人間味があってちょうどいい。

スタッフひとり一人が自分の仕事に誇りを持って、楽しくやれて、その結果が売上につながる。そんなやり方を貫きたい。もしかしたらヴィレヴァンが他の小売店と一味違って見えるのは、「仕組みとして素人感覚を活かし続けているから」なのかもしれない。

次回は、ヴィレヴァンの売場の編集術についてお届けします。