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コラム

「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」

ヴィレヴァンの「俺たちの土俵」はどこにある?

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探しものはなんですか~、見つけにくいものですか~

私が東京のある店舗で店長をやっていた時である。平日の夕方だったと思う。いつものように売場のメンテナンスをしながら店内を巡回していた。迷路のような店内を歩き、角をまがったその瞬間、足に固いものがぶつかり転びそうになった。「あぶねえなぁ」と思い、足元を見たとき、目を疑った。

そこには、おそらくお客様の忘れ物だと思われる、ボーリングの球が置いてあった。

「ボ、ボーリング??」

店内にいらっしゃるお客様は商品だと思ったかもしれないが、これは明らかに忘れ物だ。さすがに、マイボールは扱っていなかった。仕方ないので、ボーリングの球に指をつっこんで、投げる前のポーズをしながらレジに運んだ。

「忘れ物あったぞ、ボーリングの球」。

他のスタッフにも報告した。

「なんすか、それ」
「だから、ボーリングの球」
「それはわかってるんですけど、落ちてたんすか」
「そう、落ちてた。この状態で」
「まじっすか」

予想外の珍客にスタッフみんながレジに集まってきた。

どう対応しようか、これ?ということで、ひとまずテナント事務所に電話をかけてみた。

「あの~、ボーリングの球がですね、店内に転がってまして、どう対応したらいいですか」
「えっ、なんの球ですか」
「ボーリングの球です」
「あ~そうですか。売場に転がしておいたら取りに来るんじゃないですか」
えっ、そんな対応あり??

「そのへんに転がしておけばいいって言われたけど、やっぱ、まずいよな」
「おまえ、インフォメーションに、これ届けてきて」
「え~、俺っすか。絶対下心あるネタだと思われますよ、これ。」
「それはそれで仲良くなってくればいいじゃん」
「いやですよ~」

最終的にはジャンケンで決めることになり、バイトのI君に職務任命された。彼は、案の定、完全にネタだと勘違いされ、必死に「違うんです、違うんです」と説明し、任務を完了し戻ってきてくれた。ある意味ストライクな対応してくれた、I君どうもありがとう。

このように、ボーリングの球を始め、ヴィレヴァンでは不思議な忘れ物がいっぱい届けられる。お客様が忘れ物をされることは決して歓迎されるべきことではないのだが、忘れ物が出るたびに、お客様が店内で何かに夢中になってしまったのだろうと思い、心の中で小さなガッツポーズを決めていた。

うそがつけない性格でして

シロ 白いから

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