しかし一番不足しているのはヒト
今まで紹介してきたように、新しい国富の方程式は“データ x AI”の競争であり、“ヒト・データ・キカイ”が新しい経営資源となり、データ>AIを持つ企業(国家)が勝つ世界になってくるのであるが、その中でも日本では“ヒト”に関する懸念が強いと考えられる。
これは筆者も常々感じていることであるが、せっかく良質なデータを保有していてもそれをきちんと活用できておらず、価値を十分に引き出せていない事例や、言語の問題で十分にデータを活用できない事例、データ分析の教育・人材育成が十分できていなかったり、優秀な人材が海外に流出してしまったりする事例を多く見てきた。したがって安宅氏の説には深く賛同し、共感するところである。安宅氏がデータサイエンティスト協会を立ち上げ、本講演も含めた情報発信に力を入れているのも、根底には人材(データサイエンティスト)が足りないという危機感が根底にある。
皆さんも、データの収集や活用に関する個人間の“デジタルデバイド”を実感することもあるのではないだろうか。今後はこのデバイドが企業間、ひいては国家間の競争に発展し生活の豊かさに貢献することになっていくのではないだろうか。良質なデータを活用して、よりよい社会に導くためには多くのヒトの知恵が必要であり、今こそその教育や育成に目を向けるべき時期ではないだろうか?
IoTビジネスも、IT農業もインバウンド産業、企業のマーケティングも、データの活用で飛躍し日本の将来をけん引するチャンスが現在存在していると認識するだけで違ってくるのではないだろうか。このようなことを考え、広めることだけで世の中は少しずつ変わっていく。ぜひ読者の皆さんも含めたマーケターの積極的なアクションに期待したい。
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