友達と仲良くなる感覚で読者に歩み寄る
──企業のPRを見ていて感じることはありますか。
企業のPRって無機質な感じのものが多いから、情熱が伝わってこないんですよね。「何度も偉い人の確認があったんだろうな」とか、「色々な関係者の目を気にしてるんだろうな」と想像できる文章ばかりで。人間味が感じられないので、もっと遊びをもたせたり、愛着をもってもらえることを考えないといけないと思います。最近だと、シャープのTwitterアカウントなんかは攻めてて面白いですけど。
私の興味の対象はいつも人間なので人間の中身を掘り下げた記事を書くのですが、読者も皆そういった人間らしさや人の感情なんかに興味を持つんですね。例えば会社紹介をするにしても、もっと人に焦点を当てて「自分の会社のココが嫌いだ」などの本音や、「実はこう見えて◯◯にハマっている」などの情報の方が読者にとって面白いのかもしれません。これぐらい消費者の目線まで考え方を落として、普通に友だちと仲良くなるように、歩み寄って行くのも大事なのかなと思います。
記事を読んでから依頼してほしい
──暇女さんは企業から依頼されてPR記事も書いていますが、特にうまく行った事例を教えてもらえますか。
DeNAさんのRumorというアプリを紹介した「暇だからRumorを使って大企業メンズとゲス合コンしてみた」です。
実は、この記事の直前まで行き詰まっていて、「もう私はダメだ」と思っていたんです。それが、このアプリの紹介がうまくいったことで、商品の紹介でもこんなに広まったりもするんだと思って。PR記事って普通ウケないですが、工夫すればここまでウケることもわかりましたし、この記事をキッカケに色々な方に知っていただけて、転機にもなりました。
──企業からどんなふうに依頼されると書きやすいですか。
まずは、私のことをどれくらい知っているのかということをはじめに明確にしてほしいです。作品を全部読んでいるのか、それともひとつだけしか見てないのか。そこが曖昧なままふわふわと企画が始まってもどういうものを企業が求めているかが分からないので。
「あの記事のあそこの部分が好きです」と言ってもらえれば、そういう雰囲気で書こうという感覚がつかめます。あとは記事を世に出す前に何段階のチェックが必要なのか、他のライターはどんなタイプの人がいるのかなど、内部事情も含めて最初に教えてもらえるとありがたいですね。ただのライターの一人として使い捨てるようなクライアントではなく、一人の人間として大事にしてくれているなと感じられる人と仕事がしたいです。
──今後、こういう企業と仕事がしたいや、こんな仕事がしてみたいなどありますか。
AKB48がすごく好きなので、AKB48の中でまだ知られていない子たちを紹介する仕事とか、売れていないアイドルのプロデュースをやってみたいですね。そういうのが得意かなと思っています。
「暇な女子大生が馬鹿なことをやってみるブログ」
暇な女子大生さん(通称:暇女)
「暇だから◯◯してみる」のスタイルでヒット記事を連発している “暇な女子大生さん(通称:暇女)”。最近は、東京都から依頼を受けて伊豆大島の旅レポートを書いたり、英国政府観光庁からイギリス旅行へ招待されたりと、ブロガーとしての活躍の幅を広げています。「ぐるなび」や「ユーキャン」など多数のオウンドメディアで連載中。
砂流恵介(すながれ・けいすけ)
PRプランナー/ライター
1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。
「広報会議スピンアウト企画「ウェブメディアの夜会」」バックナンバー
- 地域活性の情報を発信中のブロガー・染谷昌利さんに突撃「業界内の『当たり前』を疑おう!」(2016/5/30)
- 地域密着メディア「灯台もと暮らし」の鳥井弘文さんに突撃!「なぜ『隠居系男子』というブログを書いているんですか?」(2016/3/07)
- 「941::blog」の櫛井優介さんに突撃!「『行ってきたシリーズ』はどうやってつくっているんですか?」(2016/2/03)
- 「ジモコロ」編集長の徳谷柿次郎さんに突撃!「はてブがたくさんつく秘訣ってなんですか?」(2015/12/10)
- 「ねとらぼ」編集記者・太田智美さんに直撃「広報じゃないと発掘できない話を!」(2015/11/05)
- ブロガーのnarumiさんに突撃!「今こそ、企業は自社サイトをメディア化するべき?」(2015/10/14)
- 新聞記者が、本気でネットニュースの記事を書いてみた (第一夜:朝日新聞社「withnews」奥山晶二郎さん)(2015/4/08)
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