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コラム

アンバサダー視点のススメ

1万人のアンバサダーと切り開く洋楽プロモーション(ユニバーサルミュージック)

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1万クリックの成果

藤崎:アンバサダープログラムの成果について教えて下さい。

石川:「クリック数1万越え」という企画が思い出深いです。これはアーティストの魅力を「iTunesのURL付き」でTitterに投稿してもらうという企画で、インセンティブと当選基準を工夫しました。

まずインセンティブですが、やはりファンはアーティストに直接会ってみたいという気持ちを持っていますので「ミート&グリート(通称:ミーグリ)に参加」という企画を用意しました。そして、その当選の基準を「アンバサダーとしての貢献度」にしました。つまり、くじ引きのような抽選で決めるのではなく、アーティストについて「熱意を込めて語ってくれた人」「つぶきが多かった人」「写真を付けてつぶやいてくれた人」など、ファンの熱量を選定の基準にしたのです。

結果は予想通り、参加率がとても高く大反響になりました。約2週間でツイート数が延べ4千超え、総クリック数も1万を超えました。参加条件を「iTunesのURL付き」にしたことで、クリック数が算出できたわけです。

藤崎:ツイート数よりも露出の方が少ないということは、より多くの人の目に触れてクリックされたということですね。

石川:通常、この手のプロモーションは、どんなに頑張っても結局はクリック数が稼げない場合が多いです。しかし、iTunesのURLが数多くクリックされたということは、私たちにとってかなりの成功と言えます。

藤崎:クリック単価という意味では、通常行うプロモーションよりもはるかに効果を得られたというわけですね。

石川:はい、お金をかけて実施していれば結果は異なっていたのではないでしょうか。やはり、ファンの力は素晴らしいということに尽きます。ありがたいことです。

また、それだけファンが「ミーグリ」を求めていたということでもあります。地方でも行ってほしいという声をかなえるために、東京に加えて大阪でも行いました。

藤崎:アンバサダーからの要望で大阪でも開催してしまうユニバーサルさんの実行力がすごいと思います。ファンの声を形にすることはもちろん理想ですが、従来型のマーケターだと「失敗するのではないか」「実行に移すのが面倒」「会社の組織上うまくいかない」など思ってしまうはずです。

石川:ファンがあっての音楽ビジネスです。アーティスト本人と実際に会うことで、彼らが応援してくれる熱量がさらに上がると思うのです。

我々は楽曲を売ったり、プロモーションしたり、ビジネスをすることでレコード会社が成り立っています。ただ、やはり音楽がもたらす感動を届けるという側面もあるわけです。そこで、売上だけではなく、参加者にとって忘れられない経験の提供も大事にしています。

アンバサダーのネットワークをフル活用する

石川:今、約1万人の洋楽アンバサダーが登録されています。能動的に動いてくれるアンバサダーに直接連絡できるということは、マーケティングにおいても、プロモーションにおいても強みだと思っています。

藤崎:アンバサダーのプラットホームを活用して、ユニバーサルミュージックのみなさんが直接、彼らとやり取りをしているというのは理想型だと思います。

石川:イベントをやる時に「レポーターとして参加しませんか?」と、直接メールを送れます。アンバサダーが組織化されているからこそ、やり取りができるわけです。ストリートプロモーションの時代と大きく違うのは、テクノロジーの進歩によってこうしたつながりが持てることです。

藤崎:現代は、ひとりの人がSNS上でつながっている人数はおよそ100人から300人と言われています。そう考えると「1万人×100人から300人」ということで、ざっと100万人から300万人の規模でアプローチできるネットワークや手法をお持ちだということだと思います。しかもその情報が広告ではなく、アンバサダーの熱意よって伝達されるという点がポイントですね。

次ページ 「他社とのコラボの可能性が生まれている」へ続く