より付加価値を高め、経済効率を高める“ダイナミックプライシング”
米国を中心に活用され、手法として経済効率をあげる手段として“ダイナミックプライシング”が広く導入されている。これは需要と供給に応じて価格を変動させるという、いわゆる“時価”にあたるのだが、日本では“定価”制度が根付いているためにあまり普及していない。いかし今後は活用が広まって来るのではないかと考えている。
米国企業のサイトで旅行を自分でインターネット経由手配したことのある方は経験していると思うが、例えばホテルや航空券はサイトにアクセスするたびに価格が秒単位で変動する。Uberも混雑時にはプレミアムと言われる割増料金を設定し、また空いている時には割引をし需要と供給をマッチングさせている。値段が上がることもあるが、下がることもあるのでユーザーにとっても業者にとっても“適正な”料金設定になることを意味する。
例えばUberでいうと、ドライバーも「混んでいる時は大変だが単価が高いので運転者になろう」という供給を増やす役割を果たす。定価制度、早い者勝ちでは無いためサービスに手が出なくなる人が“不平等である”と感じる日本の社会ではまだまだ受け入れのハードルが高いかもしれないが、筆者は健全なダイナミックプライシングの導入には大きな事業拡大、経済拡大メリットがあると思っている。ここでいう“健全な”というのは必要以上に収益を得ることや情報操作をすることによる取引が排除されることを意味する。DPのメリットをまとめると以下のようになる。
実はこのダイナミックプライシングは、BtoBでは日本でも多く活用されており、代表的なものは「ネット広告のリアルタイムビッデイング(RTB)」になる。インターネットのいわゆるターゲティング広告や検索結果に連動した広告は、枠に対して入札が行われており「検索ワード」に対する入札では価格を含む独自のアルゴリズム(クリック率などを加味した実質効果)や、ディスプレイやテキストの「ターゲティング広告枠」ではサイトに訪れた人の属性(推定も含む性別、年齢、趣味、過去に訪問したサイトなど)に応じて入札を行い、高額の入札が表示されるといったことが、目に見えない速さで実行されている。
このようなことが可能になるのもインターネット上にデータやそれを処理するサーバーや高速のネットワークができてノウハウが蓄積されてきているからであり他の分野への活用も進んで来ると考えられる。
次回は高付加価値経済に必要な賃上げに関して取り上げたい。
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