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コラム

マーケティングを“別名保存”する

あえていま「サーチエンジン広告」について考える

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知っているようで知らない!?サーチエンジン広告の実務体系

検索エンジンの利用者が、サーチボックスにキーワードを入れて検索する行為、あるいはその時に使われるキーワードを「サーチクエリ」と言います。このサーチクエリには、「ナビゲーショナルクエリ」、「インフォメーショナルクエリ」、「トランザクショナルクエリ」の3種類があります。

オールウェイズ・オンの活動としてサーチエンジン広告を考える際、広告主はこのそれぞれについて方針を策定し、それを前提方針としてエージェンシーに伝える必要があります。エージェンシーからは、しかるのちに、購入するクエリの一覧、それらのグルーピング、グループごとのTD(Title & Description)を提案してもらいます。
 
はじめに、特定のサイトに訪問するために行う検索行動である「ナビゲーショナルクエリ」についてです。ブランド名や商品名などのナビゲーショナルクエリに関しては、原則として自然検索で上位に来ていれば、わざわざ検索エンジン広告を購入する必要はありません。例外的に購入する必要があるのは以下3つのケースです。

まずは、競合や小売店などが自社のナビゲーショナルクエリを購入して広告を展開しており、防御策として購入しないとそちらにトラフィックが流れてしまう懸念がある場合です。次に、自然検索の検索結果に表示されるタイトルやスニペットが不適切で分かりにくく、検索エンジン広告で上書きする必要がある場合です。

最後に、例えば人材紹介業などで登録希望者向けと企業向けに全く別のウェブサイトを持っており、消費者と企業の採用担当者をそれぞれ別のウェブサイトに誘導するなど、ターゲットに応じて誘導先を交通整理する必要がある場合です。これらの条件を整理してエージェンシーに伝え、購入するべきナビゲーショナルクエリについての具体的な提案を受けましょう。
 
リサーチ目的で行う検索行動である「インフォメーショナルクエリー」について、論点はビックワードを購入するかどうかです。例えば、自動車メーカーであれば、「SUV」「ミニバン」「コンパクトミニバン」などのカテゴリー名がビックワードに相当します。通常これらのワードで検索するユーザーは、商品比較サイトなどをSERP(検索結果画面)に期待しているので、一企業が独善的に自社商品・サービスだけを喧伝する広告には耳を傾けてくれません。「SUVをお探しなら○○の△△」などという広告を展開しても、押し付けがましくなってしまい大抵パフォーマンスは優れません。

ただ、カテゴリーによってはそもそも競合商品・サービスが少なく、比較サイトなども存在しないこともあり、そういったケースではSERP上に一つの候補として自社商品・サービスを提案することが消費者にとっても有益である可能性があります。

また、オウンドメディアなどで「自動車保険の選び方」などカテゴリーに関してのニュートラルな情報提供コンテンツを展開している場合は、当該コンテンツのトラフィックソースとして検索エンジン広告を活用するのが有効です。以上の点を踏まえ、それでもあえてビックワードを購入するのか、ビックワードの受け皿となるオウンドメディア上のコンテンツはないか、というポイントを整理してエージェンシーに伝えましょう。
 
最後に商品の購入を目的として行われる検索行動である「トランザクショナルクエリ」についてですが、ここでは営業部門など販路を管理するセクションとの調整が必要となります。販路がECのみであればECサイトへの誘導、実店舗のみであれば店舗検索ページへの誘導、両方であればその交通整理をするのが基本ですが、それをさらにダイレクトチャネル・インダイレクトチャネルでどう割り振るのかは広告主が一義的に決める必要があります。

同じ商品について、同じSERP上で、メーカーはダイレクトチャネルで買ってくれと言い、小売店はインダイレクトチャネルで買ってくれと言っているなどという状況は消費者を混乱させます。また、メーカーと小売店がいずれも同じインダイレクトチャネルで買ってくれ、と言っているような場合は単純に広告費の無駄遣いです。そのようなことが起きないよう、事前に社内で交通整理をした上で結果をエージェンシーに伝えましょう。

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